はじめに
スマート化に対抗する「優しいコミュニケーション」
―また、あらゆる物、コミュニケーションが、急速にスマート化されていますが、この時代にあっての「付箋」、ポスト・イット® 製品の意義をお聞かせください。
坪井 :デジタルの情報交換は確かにわかりやすいソリューションです。しかし、これは情報を発信する側の便宜性を優先するだけで、果たしてその情報を受け取る側に対して優しいものかと言うと、そうじゃないのではないか、というのが私個人の意見です。
家庭での情報伝達を例にすると、午前中、お子さんは受験勉強のために自習室に通っている。夕方に家に戻った際にお母さんは外出している場面があったとします。
お子さんに対して「おやつをテーブルに用意しているよ」という情報をデジタルツールで朝10時の時点で送った場合、その時間帯に受け取ったお子さんは、その場で「わかった」と思っても、実際に「おやつ」のことを考えるのは自宅に戻る夕方です。
つまり、送り手の都合で情報を送っても、受け手はその時間には別のことをしていて、必ずしもその情報を必要としていないかもしれない。もしかしたら、送り手の都合で送られた情報を、受け取った側は全部受け取って整理して、夕方まで覚えておかなければいけないかもしれない。
デジタルによって、全てのコミュニケーションがスムーズになると考えられていますが、これは実は円滑な情報のやりとりではないように思えてなりません。
デジタル化によるすれ違いをつなぎたい
その点、例えばお子さんが家に戻ってきて、初めておやつの情報を欲したとき、例えば家庭の分かりやすいところにふせんが貼ってあり、「おやつはこれだよ」と書いてあれば、受け手にも優しいコミュニケーションになのではと思います。
これは家庭での例え話ですけど、どんなシチュエーションであっても行動のすれ違い、お互いの環境の違いに対する課題は、むしろ今後はもっと叫ばれるようになると思います。その上で、行動のすれ違い、お互いの環境の違いをうまく繋ぐアナログのコミュニケーションツールとして、ポスト・イット® 製品がよりお役に立てる機会があるのではないかと思っています。
1980年に誕生し今年で40周年を迎えたポスト・イット® ブランド。これを記念してリリースされたポスト・イット® 強粘着ふせん マルチカラー スペシャルセット(写真提供:スリーエム ジャパン)