はじめに
不妊治療は平均約200万円⁉
現在保険が適用されている一般的な不妊治療は、わかりやすく言うと、男女ともに正常な妊娠に至るまでの検査や薬物治療のこと。一方で、今議論されている生殖補助医療とは、高度な医療技術を必要とする人工授精や体外受精、顕微授精などを指します。
人工授精以外は採卵や採精、胚移植など数多くの工程が必要となるため、治療費は高額になります。医療機関によってさまざまですが、内閣府の発表では1回の治療につき人工授精は平均約1万円~3万円、体外受精や顕微授精は平均約30万円~40万円に上ります。
Webメディア「妊活ボイス」が不妊治療経験者を対象に2017年10月に行った調査によると、高度不妊治療(体外受精・顕微授精)にかかった費用は平均で約193万円でした。300万円以上かかった人も約6人に1人(16.1%)という結果になりました。
保険適用に制限は必要か?ネット上の意見
そのため、保険適用の拡大に多くの人から賛同の声があがっています。一方で、ネット上で特に多く目立つのは年齢制限や婚姻など、一定の条件を課すべきという意見です。
「妊娠する確率が極めて低い40代後半になっても、延々と不妊治療ができてしまう。社会保障費の無駄使いではないか」
「高齢出産が増えれば、障害のある子どもも増える可能性も大きい。年齢制限を設けないなら、そのケアやサポート体制も同時に整えるべき」
「法的に結婚して子育て環境の整った家庭のみに限定しないと、子どもが生まれたとしても虐待や育児放棄が増えるだけでは?」
「愛人や不倫カップルでも適用されるだろうし、不正も増えそう」
「保険適用化によって“子どもを授かって当たり前”という風潮は起きないでほしい。子どもを諦めた先の幸せな人生もある」
Twitterで不妊治療の保険適用化に関するニュースに言及している人の投稿を見てみると、このように高齢出産や事実婚カップルも対象とするという意見に対し、批判的な声も多くありました。また、筆者の周囲で今まさに不妊治療を行っている人は喜びの反面、一定の条件や線引きの必要性も感じていました。