はじめに

所得制限撤廃は不平等?

一方で、所得制限を緩和、撤廃することについては概ね賛成の意見が多いようです。

「産んだ後のほうがよっぽどお金がかかる。所得制限撤廃はすべき。そもそも所得が上がらないことには『子どもを産み育てよう』という人は増えない」

もちろん、「年収3000万円の人が年収300万円の人と同じように保険適用されるのは不平等では?」という指摘もありました。

現在、不妊治療への助成を受けられるのは夫婦合算ベースで730万円という所得制限があります。不妊治療を行う人の多くが30代、40代で、共働き夫婦が増えていることを考えると、特に東京など都市部では所得制限を簡単に超えてしまいます。

それにも関わらず、助成を受けるのに730万円の壁があることにはこれまでも疑問の声がありました。東京都では2019年4月1日以降に開始した治療については所得制限を引き上げています。社会の収入格差は拡大する中、所得制限は完全撤廃ではなく、上限を引き上げる必要があるのではないでしょうか。

現行の助成制度の問題点は

政府は現在、「不妊に悩む方への特定治療支援事業」として不妊治療に要する費用の一部の助成も行っています。対象となるのは体外受精と顕微授精で、1回の治療につき15万円、初回の治療については30万円の助成を受けることが可能です。

しかし、この助成には条件があり、対象外となってしまう人は少なくありません。まず、対象は妊娠の可能性が極めて低いと医師に診断され、婚姻をしており、治療期間の初日の妻の年齢が43歳未満である夫婦。つまり、結婚をしていないカップルや事実婚のカップル、妻の年齢が43歳以上である夫婦は対象外となっているのです。さらに、先ほど述べた所得制限もあります。

また、助成は何度も受けられるわけではなく、通算助成回数には制限があります。初めて助成を受けて治療を受けたときの妻の年齢が40歳未満なら6回まで、40歳以上だと通算3回まで。この回数を超えれば、それ以降の体外受精や顕微授精はすべて自費となってしまいます。