はじめに

米中貿易摩擦とFRBによる利上げで不安定な相場に

2018年に入ると対中貿易政策と金融政策の両面の影響でマーケットは不安定になりました。

まず対中貿易政策では、米国中心主義を掲げ、対中貿易での赤字を嫌気したトランプ大統領による対中制裁関税が世界に混乱を招きました。2018年の7月にロボットなど818品目340億ドル相当へ25%の関税をかけたのを皮切りに、2019年9月の対中関税第四弾まででほぼすべての輸入品に関税を課すまでにいたりました。

アメリカの政策に対し中国も黙ってはおらず、アメリカからの輸入品への報復関税で対抗しました。この”米中貿易戦争”は報道が出る度に株価へマイナスな材料となりました。

また、トランプ大統領は金融政策を決めるFRB(連邦準備制度理事会) への干渉も目立ちました。転機となったのは1期4年と短い期間ながら米国の景気回復を達成したイエレン議長に代わるパウエル議長の就任でしょう。中央銀行の独立をかかげ経済の過熱を抑制したいパウエル議長と株高にこだわり低金利を要求するトランプ大統領との対立が目立ちました。

とりわけ、パウエル議長が就任した2018年2月5日のNYダウは一時1,500ドル以上の下落と当時の史上最大の下げ幅を記録し、印象的な幕開けとなりました。

パウエル議長は大型減税を追い風に好調な米景気の過熱感を抑えるべく、2018年3月、6月、9月、12月と計4回の利上げを実施しました。特に12月に行われたこの年4回目の利上げは、米5年債の利回りが2年債利回りを下回る”逆イールド”が11年半ぶりに発生し、利上げ慎重論が強まる中で行われました。

金融引き締め姿勢が嫌気され、利上げが行われた12月19日の週のNYダウは6.9%下落し、2018年のNYダウは年間の騰落率をマイナスで終えました。

10年半ぶりの利下げを皮切りにNYダウは史上最高値へ

2019年の相場は米アップルの業績下方修正、米経済指標の悪化などで景気後退感を嫌気して大幅に下落して始まりましたが、年初が底となり上昇の目立つ1年となりました。

FRBが年初の株安を受けて方針を転換し、前年とは一転して利上げの終了を示唆したうえ、金融引き締めのために続けていた資産圧縮プログラムも終了させる観測がされると、リスクを取る姿勢が強まりました。

FRBの利下げ路線への転換期待からNYダウは2019年7月に再度史上最高値を更新し、2万7,000ドル台を記録しました。8月に約10年半ぶりの値下げが実行された後は、追加利下げに慎重な見通しが見られ大幅に反落する場面もありました。

しかしトランプ大統領の金融緩和圧力もあり、FRBは9月、10月にも連続で利下げを行い、NYダウは年末に2万8,000ドルを突破。再び史上最高値を更新して1年を終えました。