はじめに
まずは固定費の削減を検討して
今後の貯蓄計画を立てるにあたり、まず、家計の見直しをすることが大切ですが、ご相談者さんの家計を拝見すると、とても堅実に暮らしていらっしゃると思います。現在も十分努力されていると思いますが、もう少し努力できる余地があるところとしては、「水道光熱費」「通信費」が挙げられます。
水道光熱費も通信費も今後も生きていく上で欠かすことができない固定的に発生する支出ですから、できるだけコストは抑えたいですね。詳しい契約状況がわからないので、削減ポイントを一般論でお話します。
水道光熱費ですが、総務省家計調査報告2019年によると、水道光熱費の2人世帯の全国平均は、1万9,599円となっています。水道光熱費の中でも電気代が占める割合が大きいので、電気代にメスを入れることは家計費削減に有効です。一般的に2人暮らしの場合、契約アンペアは30A〜40Aですが、仮に、40Aから30Aにした場合、東京電力で契約している場合だと、毎月約280円節約でき、年間約3,300円の節約になります。また、電力会社を変更するというのも手。電気見直しサイト「エネチェンジ」などでシミュレーションしてみましょう。
また、スマホは、格安SIMに乗り換えることで大幅に削減できます。格安SIMは、これまで通信速度や通信の不安定さなどが問題視されていましたが、最近は大手キャリアと遜色ない通信速度や安定性があり、サポート体制も整っていると評判が良いようです。仮に大手キャリアから格安SIMへと変更すると、一般的に5,000円〜8,000円程度節約できます。ご相談者さんが上記の条件に当てはまっているようであれば、ぜひ、試してみてください。
将来のライフプランを「見える化」する
固定費の削減や家計の支出を見直すことに加えて、大切なのは、将来のライフプランを「見える化」することです。漠然と不安になってしまうのは、将来にわたりどれくらいの金額がかかるのかが把握できていないからです。ご夫婦で話合いながら、「いつ」「どんなイベントが発生するのか」「どれくらいの金額がかかるのか」を書き出してみましょう。ライフプランを作成することで、イベントに向けて、今から毎月どれくらいの金額を貯めていく必要があるのかなどが明確になります。
家を買ったら毎月いくら支出が増える?
中長期的にライフプランを描くことで、人生の全体図を把握できたと思いますが、直近でご相談者さんが気になっているポイントとしては、「住宅購入費用」と「出産費用」でしょうか。
住宅購入についてですが、ご希望の物件の条件としては、物件価格2,600万円、金利0.56%、返済期間25年とのこと。頭金を考慮せず、単純に計算すると、毎月の返済額は、約9万2,000円。現在の住居費用から2万7,000円増えます。
また、住宅を購入するとなると、税金や登記費用、ローンを組むにあたって金融機関が借入者に求める保険契約や保証料など住宅購入やローン契約にかかわる様々な諸費用がかかります。諸費用の目安は、新築物件の場合は物件価格の3〜5%程度、中古物件では、物件価格の6〜8%程度です。金融機関によっては、諸費用もローンで借りられるところもありますが、基本的に現金で用意することが求められます。頭金の金額をどれくらい入れるのかにもよりますが、200万円程度は準備しておきたいところです。
加えて、購入した後も何かとお金がかかります。毎月のローン返済の他に固定資産税、都市計画税などの税金、マンションを購入した場合には、管理費・修繕積立金がかかります。なお、一戸建ての場合には管理費・修繕積立金はかかりませんが、築年数が古くなりリフォームや修繕をする場合には、貯蓄から捻出することになります。ですから基本的な考え方は同じです。
このように住宅を購入するとなると、様々なお金がかかりますが、貯蓄のすべてを住宅費用につぎ込んでしまうのはNGです。今後、お給料が下がったり、リストラにあってしまったり、病気になってしまったりすることもあるかもしれません。いざという時に備えて、生活費の半年分から1年分は貯蓄としてキープした上で、住宅費用に当てるように計画しましょう。