はじめに

再び感染拡大へ

経済を回すことを決めた結果、予想よりは観光業に良い結果を与えたこともありましたが、業界全体で見るとコロナ禍のダメージは甚大でした。

フランス銀行によると、2020年上半期(1〜6月)の国際観光収入は123億ユーロ(約1.5兆円)。前年2019年の上半期は255億ユーロ(約3.1兆円)と比べて、51.9%の減でした。またフランス観光開発機構は、年間の観光消費が30〜35%減少するだろうと見積もっています。

経済へのテコ入れは、感染拡大を防ぐという観点でもマイナスになりました。外出や移動の制限により、一時期はある程度抑えていた新型コロナの感染拡大が、再び増加傾向に転じました。地域によっては、医療のキャパシティを再び逼迫するようになってきました。

9割が夜間外出禁止令を支持

そして10月14日、ついにマクロン大統領は、フランスのテレビ局TF1およびTF2の生放送のインタビューで、パリ、リヨン、マルセイユなど、新型コロナの警戒最大化ゾーンとなっている国内9都市圏(16県)に、17日から夜間外出禁止令を出すことを発表しました。さらに翌週にはカステックス首相が発表を行い、夜間外出禁止の適用範囲を38県に拡大し、フランス本土54県と1海外県が対象となりました。10月後半は、フランスにおいては万聖節のバカンスの時期でもあります。

この政策をフランス人はどう感じたのでしょうか。調査会社Elbaがマクロン大統領のインタビュー翌日に行った世論調査では、56%が「マクロン大統領の言葉に説得力がない」と答え、「説得力がある」と答えた44%を上回りました。

一方で、夜間外出禁止については62%のフランス人が「賛成」で「反対」は38%。ただし「マクロン大統領が発表した政策は感染拡大に効果的か」という問いには、40%が「効果的」、59%が「効果的ではない」との回答を出しています。「個人的に夜間外出禁止を尊重するか」という問いには90%が「はい」と答えました。

インタビューの中で、マクロン大統領は「少なくとも2021年夏までウイルスへ対処しなければいけないだろう」とも述べました。感染拡大と経済の状況に合わせて、移動や外出制限という弁の開け閉めをどのようにしていくのか。経験したことのない難しい対応が迫られています。