はじめに

ローン返済で純資産が増えていくことが重要

――スプレッドは、物件が生み出す純利回りと借入金に対する金利支払いの差のことですね。

そうです。不動産投資では賃料収入が定期的な収入になりますが、不動産投資で得られる正味利益は、賃料収入のほかに、ローン返済によって増加する土地の持ち分も含みます。ローンを組んで買った物件は、コツコツ返済していくことによって自分の持ち分が増えます。これはバランスシート上は純資産になり、売却時に現金化できる「含み益」に相当します。仮に賃料収入が安定しているならば、金利支払いが低いほど正味利益が増えますので、日本のように低金利で資金調達をして物件購入できる環境はスプレッドを獲得しやすいのです。

――物件価格や賃料収入だけで見てはいけないということですね。

はい。不動産投資を検討する人は、賃料キャッシュフローなどを見る人がほとんどです。しかし、注目してほしいのはそれだけではありません。賃料と借入金利のスプレッドです。スプレッドが大きければ、割安価格で買うことはあまり重要ではなくなりますし、賃料キャッシュフローがマイナスになる時があっても純資産は増え続けます。

――直近のトピックスとして、2012年から買い続けてきた物件の資産総額(時価)が100億円となりました。これもスプレッドを見る投資戦略によるものですか?

物件1つ1つから上がる利益は小さいため、まとまった利益にするためには小さなスプレッドを重ねていく必要があります。わかりやすく言えば、割安物件を少量買うよりも、普通の物件をたくさん買うほうが有利ということです。これは、高い入居率を維持できている限りはロスカットされない個人向け融資システムの構造的な特権ともいえます。これを活用しない手はありません。

この記事の感想を教えてください。