はじめに

公的年金受給見込み額は必ず確認を

そして、夫婦ともに必ず確認したいのが、公的年金の見込額です。50代なので「ねんきん定期便」に記載されているはずです。夫婦2人の公的年金を合わせると月にいくらになるか、それで老後の生活がなりたつか。相談者さんは派遣社員ですね。厚生年金には加入しているのでしょうか? 夫は個人事業主ですから国民年金で、満額でも月7万円弱です。

現在の支出から、最低限の生活費として、住居費、食費、水道光熱費を合計すると16万円です。実際には、これに通信費や、車が必要なら車両費、雑費やお小遣いなども加わります。老後も国民健康保険料や介護保険料の支払いは続きます。こうして老後の支出を予想してみると、手元の貯蓄300万円を少しでも増やしておくことが必須だとわかります。

また、老後のための貯蓄は、生活費とは分けておきたいので、普通預金に入れっぱなしはやめましょう。普通預金の残高は、毎月の生活費に少し余裕を持たせた程度にしておき、つい使ってしまうことを防ぎます。老後資金は定期預金にして、引き出しにくくしておきます。

個人事業主が老後資金対策にやっておきたいこと

個人事業主向けの老後資金対策として、小規模企業共済があります。毎月掛金を払って、事業を引退した後に、積立てた掛金を一時金(退職金)や年金で受け取ります。利子も1%程度つき、受取時の税金優遇もあります。掛金は所得から控除できるので現役時代の節税対策にもなります。金融機関経由で加入の申し込みができるので、仕事の収入を受け取っている銀行で相談してみてください。

iDeCoこと個人型確定拠出年金も老後資金の準備に使えますが、加入は60歳までで、10年以上の加入期間が必要です。ただし2022年からは、国民年金に任意加入している人は65歳まで加入できるようになります。夫は56歳でギリギリですね。任意加入の予定があるなら検討しましょう。小規模企業共済と同様に毎月掛金をかけ、60歳以降に一時金や年金で受け取ります。掛金を所得から控除できるので節税になるなど税金の優遇もあります。iDeCoはいろいろな金融機関で取扱っているので、これも取引銀行に相談してみましょう。

年金受給開始の繰り下げも検討を

公的年金は原則65歳からの受取ですが、1か月単位で繰り下げることができ、1か月繰り下げるごとに0.7%増額されます。70歳まで働いて、公的年金の受け取りを70歳からに繰り下げれば、42%増の年金を受け取ることができます。

65歳までは約10年、70歳までなら約15年の時間があります。複数の対策の合わせ技で、しっかり老後の準備を進めましょう。

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