はじめに

金融機関特有のロジックを理解する

――金融機関との付き合い方で気をつけていることはありますか。

形式審査に落ちないようにするという点では、細かなことですが、物件や借入金の状況などはきちんと管理しておくことが大事です。私は自分で資産管理の開示資料を作っていて、「こんなによく整理された資料は初めて見た」と金融機関の人によく驚かれます。小さな会社が会計の透明性をアピールすることは簡単ではありませんが、整然と整理された資料の中にそれを見いだしてもらえることもあろうかと思います。

また、私は地域の信用金庫から借りることが多いため、地域に根ざして大家業を営んでいると伝えることも大事だと思います。信金は地域から預かったお金を地域の発展のために貸し出す立場です。その点を踏まえて、地域に向けて快適な住居を提供する、住居インフラの管理者として仕事をしているという意識を持ち、金融機関にもそれを理解してもらうことが大事だと思います。

――属性以外の面で、融資で不利、有利になる条件はありますか。

日本の金融機関のシステムは一般の人には理解できない特殊な理屈で動いているように感じます。たとえば、売上げや資産の集中や偏りは金融市場の考え方でいえばリスク要因ですが、金融機関でそれが審査されることはほぼありません。資産のすべてが池袋のマンションでも集中が過度で危険といわれることはありません。むしろ、地域内ですべて完結しているほうが地域金融機関には好かれるかもしれません。この点は逆に活用させて頂き、堂々と事業を集中させたらよいと思います。

――金融機関特有の判断基準があるのですね。

そう感じます。それは時に不合理で、民間感覚では理解できないおかしなルールのため被害を被ることも多いのですが、逆に普通の感覚では理解できない勢いのいい貸し方をすることもあります。本音をいえば、フルローンを出すくらいならば銀行が自分で買った方がいいのではと思いますが、そこはチャンスとしておかしな点の恩恵にあずかればいいと思います。ほかにも、「競合の金融機関が貸しているならうちも貸そう」のような横並び意識には合理性はないと思いますが、いまだにこの力は働いているように感じます。そのため、多くの金融機関と取引して地域の輪を広げることには一定の意味があります。