はじめに
つながりを作って新規開拓
――新たな金融機関とのつながりはどのように開拓しているのですか。
以前は銀行などの融資窓口を訪ねていましたが、ドアノックで正面から入って融資が出たことはほぼありません。そのため、知り合いなどを通じて紹介してもらうことが多いですね。金融機関は紹介者を気にしますし、融資審査の稟議書にも紹介者を書く欄があります。例えば、会社に営業にくる生命保険の担当者などが地域の金融機関と提携していることがあります。そういう接点から金融機関の融資担当者や支店長を紹介してもらいます。紹介とは少し違いますが、ある銀行の支店で資産運用のセミナー講師の依頼を受けたことがきっかけになりその銀行から借り入れができたこともありました。
――小さな縁を大事にしながら地道に開拓していくものなのですね。
地道ですし時間もかかります。
きっかけを作るという点では、新たに取引を始めるために区分マンションを買うこともあります。
一般的に、金融機関の付き合いとしてよくあるのは、金利がほぼ付かない定期預金や積み立てなどですが、融資を受けること自体が「お付き合い」であることすらあります。支店の近くの小規模区分マンションなど、融資審査が楽に済む物件をあえて持っていって口座を作り関係性を構築します。そのような区分を買えば私は赤字ですが、返済実績が増えて、次に大きな融資を受けたい時に話を持っていくことができます。本来は融資を拡大したい金融機関の営業担当がすべき努力だと思いますが、そこでは役割分担をいったん忘れて、あえて低いボールを投げて拾ってもらうのもいいでしょう。金融機関とのリレーションシップに対する先行投資ともいえます。
私は基本的には一棟ものを買いますが、ポートフォリオの中にいくつか区分マンションがあるのは、そういう接点づくりの過程でできた副産物です。