はじめに
家賃を補助すると彼に言われて
そんなとき、彼から連絡がありました。
「大丈夫かって。そんなこと聞くのは失礼だと思っていたから言えなかったけど、精神的にも経済的にも自分が役に立てるなら何とかするからと言ってくれたんです。本当にうれしかった。彼とつきあって1年もたってないし、あんまり愚痴ると嫌われると思って、会社を辞めさせられてから2週間ほど何も言えなかったから」
ミフユさんは孤独感も手伝って、彼の勧めるままに家へ行き、思い切り彼に愚痴り甘えました。彼もいろいろ思うところがあったのでしょう、その日は朝まで語り合ったそうです。
「帰りがけに彼がぽつりと言ったんです。『こんなこと言ったら気を悪くするかもしれないけど、ほんの少ししか助けられないけど、よかったら家賃を半額もつよ』って。彼は会社の借り上げマンションで生活しているので、ほとんど家賃がかかっていないんです。だから半分くらいならなんとかなると。私も真剣に仕事を探さないといけないし、それにはアルバイトをしている時間が惜しかったので、彼の申し出を受けることにしたんです」
8月に入り、彼女は仕事探しに全力を傾けるようになりました。ところが彼からたびたび連絡が入ります。返事をしないと、「どこにいるの?」とメッセージが立て続けにやってきます。彼女は監視されているような詮索されているような気分になっていきました。
「彼は心配しているだけというのですが、家賃を半分出しているから、私の行動を把握する権利があると思っているのではないかと疑わざるを得なかった。私の思い過ごしかもしれないし、負い目がそう思わせたのかもしれませんが」