はじめに
将来性がある株を割安で狙う
――VE投資法は、エナフンさん考案の投資法であり、エナフンさんの投資の根幹でもあります。どのようなものなのですか。
VEはもともと経営分野で研究されてきた「より優れた製品をより安く作る」ための手法です。そこに、従来からあるバリュー投資の考えを加えつつ、「より本質的価値の高い株をより安く買う」ためのスクリーニングに応用したものです。
本質的価値は企業の「実力値ベースのEPS」と、成長要因やリスク要因を踏まえてはじき出す「あるべきPER」の掛け合わせです。詳細な計算方法や銘柄選びの具体的な方法は著書(『エナフン流 VE投資法』奥山月仁著(日経BP))を読んでいただきたいのですが、簡単に言えば、安く買うことに重点を置くバリュー投資を変形させて、グロース投資のリターンの大きさも狙っていくということです。
――割安さだけではなく、成長性や将来性も加味するわけですね。
そうです。市場は成長性を高く評価しますので、株式投資においてもグロースの要素は外せないと思っています。グロース株はPERが高く、割高と感じる人もいますが、3Dのように将来性がある分野の株なら、割安で買えなくても大きなリターンが得られることもあります。
一方、成長性があればなんでも良いというわけでもなく、あまりに高く買うと儲かりません。前述した中古車などはその例で、業績は上がっているのですが株価も上がっています。いい株を見つけるだけでは利益にはならないので、そこではバリュー投資の視点も必要になるのです。
――将来性が期待できそうなセクターや銘柄を見つけたら、まずどこを見ると良いと思いますか。
EPSを見て過去の業績の推移を確認してみると良いと思います。昨今はネットで簡単に過去の業績を確認できますので、どこで上がり、その時に何があったか、下がった時があったとしたら、その理由は何かと言ったことを調べると、業績が動く要因が把握しやすくなりますし、あるべきPERを予想する将来に向けた投資ストーリーも描きやすくなると思います。
財務の安定性なども大事だとは思いますが、財務を見て勝てるなら会計士はみんな勝てることになりますよね。実際にはそうはならないので、流動比率や自己資本比率などを重視するより、業績とEPSの推移を見ながら銘柄を探すのが良いと思います。
“普通の人”でも株で1億円! エナフン流VE投資法 奥山 月仁 著