はじめに

初値が天井という定説は真か

今のところ、そうした固定観念は覆されています。

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IPO 62銘柄の初値と、11月6日終値を比べてみましょう。ここでは便宜上、セカンダリー投資と呼称しますが、1銘柄平均で34.6%のプラスです。重ねて言いますが、初値が2.4倍となって、さらに34.6%上昇しているわけです。

銘柄数でいえば、62銘柄中、30銘柄がセカンダリー投資でプラスです。銘柄によって比較する期間の長短の差はあるものの、初値のみならずセカンダリー投資でも一定の成果が出ています。

グラフは初値上昇率とセカンダリー上昇率を月ごとに併記したものですが、興味深い点がいくつかあります。先ずは、初値上昇率が低ければ、セカンダリー上昇率が高い傾向にあること。当たり前のように思えますが、特に3月、4月に注目です。IPO銘柄数は3月が24銘柄、4月が1銘柄ですが、3月は4銘柄、4月は6銘柄がIPOを延期しました。

新型コロナウイルス蔓延に伴う、株式市場の不透明感に対する措置が主な要因です。結果、3月の初値上昇率は7.6%、4月は7.9%のマイナスとなりました。3月はプラスではあったものの、24銘柄中、17銘柄の初値が公開価格割れとなりました。

つまり、「もともとディスカウントが働いている公開価格であるにもかかわらず、コロナ禍が初値形成を歪めた」 ⇒ 「コロナ禍の影響が薄れるに伴い、セカンダリー投資で実力を発揮し始めた」 ⇒ 「以降のIPO銘柄の初値投資が強気に傾いた」 ⇒ 「直近のセカンダリー投資の成功体験から、初値投資が強気に傾いたIPO銘柄のセカンダリー投資でも、成功するケースが出てきた」と考えることができます。

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こうした見方が正しいならば、本年12月IPOには期待が持てるでしょう。例年、12月のIPO銘柄は、銘柄数が多いうえに、年末に向けて機関投資家や外国人投資家が手薄となるシーズンとあって、注目を集めやすいからです。

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