はじめに
生徒が全力で取り組む文化祭、体育祭にも注目
もう一つ、学校文化がよく表れるのがお祭りですね。体育祭と文化祭はとりわけ特徴がよく出ます。
朝の行事が教員文化由来だとすると、お祭りは生徒文化ですから、公開行事を見ることで生徒文化が目に飛び込んでくるので保護者も見るとよいのはもちろんですが、やがて生徒になるかもしれない本人にとって何よりの「情報」です。
中等教育は人格形成が大きなウェイトを占めることは、発達段階として非認知能力が高められる期間であることと表裏を成しています。認知能力を伸ばすのは授業もさることながら(というのは、これからの授業はアクティブラーニングですから非認知能力も重要な要素になります)、やはり生徒同士が学び合い、協調し合うというクラブや行事を通して感得されるのが常でした。
実際に男子校の開成に代表される体育祭や麻布の文化祭などは名物行事といわれるだけに、
大変な精力をかけて行われますから見応えもありますが、何と言っても参加する本人たちの成長ぶりこそが頼もしいのです。
一方で悲しいニュースも
今回はコロナでWeb開催に切り替えて実施する所が増え、これまで陰の功労者だったITに強い先生や生徒が活躍する場面が見られ、これはこれで収穫だったという声が学校からよく届きます。
さて、ここから少し趣を変えてお話しします。全国的に有名な某男子校の生徒から他校のある中学生が文化祭に誘われて参加し、その翌日に自死したということがありました。確か中2生だったと思います。
彼はこの学校を受験して落ちていたそうで、改めて文化祭を覗き何があり何を感じたか分かりませんが自死してしまった。こうした受験の失敗に起因すると思われる自死が中2男子生に立て続けに起こったことがありました。たまたま耳に入ったので知っているものの、こうしたことがニュースになることは稀です。
ただ中2生の自死は多く、女子より男子が多いようですが、学校行事が華やかなだけに、このような悲しい事実を聞くと、留意すべきこととして、憧れを持つことと、それを相対化することの両方の大切さを考えてしまいます。