はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

資産運用のために、現在、銀行や証券会社にて10以上の口座を保有しています。そして、株式や投信、債券を50個くらい数細かく持っています。これは多すぎでしょうか?
(40代後半 独身 男性)


深野: 取引金融機関の数、さらには投資している個別株や投資信託の数が多すぎるのかどうかを悩まれているようですが、その数からいえば多いと思われてなりません。

しかし、ご自身が管理できるのであれば取引金融機関の数や銘柄数にこだわる必要はありません。

とくに投資信託は株式と異なり、どこの証券会社でも同じものが取り扱われているわけではないため、気になる投資信託へ投資しようと思えば、どうしても取引金融機関の数は増えてしまいがちです。

銘柄を増やすとリスクが減る?

ただし、分散投資の効果、いわゆる“リスク低減”効果は、銘柄数を増やせば増やすほど高くなるわけではありません。一定の銘柄数以上になると、「リスク低減効果はほとんど変わらなくなる」と言われています。

個別の株式では20から30銘柄程度ですが、ご質問者の方は投資信託も購入されていることから、もっと銘柄数を絞ってもよいと思われます。

また、現在はすべてを管理することができても、歳を重ねると、その管理も大変になってきます。

筆者も最盛期には、株や投資信託などを取引している金融機関が10、投資信託を中心とした銘柄数も30近くありましたが、その管理が大変になってきたので、徐々に取引金融機関、銘柄数を減らし始めました。

課税の問題にも注意

また、数を減らしたもうひとつの理由が課税関係です。

株式や投資信託は「特定口座の源泉徴収あり」を利用して取引すれば、証券会社や銀行が売買損益、配当金(分配金)の損益通算、税金の徴収までを行ってくれますが、残念ながら複数の証券会社などにまたがる損益通算はしてくれません。

自分自身で損益通算をして確定申告や納税、または税金の還付をする必要があるのです。

さらに質問者の方は、現在、勤労者かと思われますが、将来リタイアすると健康保険(社会保険)から国民健康保険に変わることになります。

国民健康保険は前年の世帯所得などによって保険料(税)が決められることから、確定申告をして世帯全体の所得が増えてしまうと、その結果として国民健康保険や介護保険の保険料の負担額が増加することもありえるのです。

言い換えれば、リタイア後はなるべく確定申告を行わないような資産運用を行ったほうがよいのです。現在は40代後半とのことですが、リタイア後まで見据えれば、いずれかの時点で徐々に取引金融機関の数、銘柄数を減らしていったほうがよいでしょう。

とくに課税関係を考慮すれば、銘柄数よりも取引金融機関の数を絞っていくことを優先されるとよいでしょう。