はじめに

2020年11月16日から5日間、“これからの自分のためにお金をレベルアップさせる1週間”をテーマに、オンラインイベント「マネーフォワード Week」が開催されました。

本記事では、11月18日に開催されたマネックスグループ講演「日本の未来は明るい。個人投資家の思いが企業を変革する!」の内容を一部抜粋・編集してご紹介します。

マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO松本大氏とカタリスト投資顧問株式会社 取締役副社長COO小野塚惠美氏が、参加者から寄せられた質問にリアルタイムで答えながら、今後の個人投資家のあるべき姿や、「マネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)」についてお話しします。

日本企業を元気にするのは「日本大好きメンバー」で

小野塚:その活動を支えるのが、カタリスト投資顧問の運用側の人間です。このようなメンバー(図参照)で日々活動しています。

カタリスト投資顧問チームメンバーカタリスト投資顧問チームメンバー(講演投影資料より抜粋)

いずれのメンバーも、外資系の金融機関や日本の銀行で長らく資本市場に関わってきました。さらに、ここは松本さんのこだわりポイントだったと思いますが、「日本が大好きなチーム」でやりましょうというお話でしたね。

松本:世界の機関投資家は今、日本株にすごく興味を持っています。実際に海外のアクティビストが日本企業に様々な提案も行っています。

しかし私は、日本企業を良くするアイデアや考え方を持っているのは、日本にいる我々だと思っています。そして日本企業が良くなり株価が上がったとき、そのリターンを得るのは日本の人であってほしいと思っています。そのためには、日本の個人投資家のお金を中心にやっていくべきだし、日本をよく理解しているチームが必要なんです。

世界でも類を見ない“全方位型”のアプローチ

小野塚:ここからは、このエンゲージメント活動、対話について具体的に説明していきます。我々の活動は全方位対話型のアプローチで行っています。

一般的にエンゲージメントを行うファンドは、個別投資先の企業と対話することが中核になります。もちろん我々はそれもやりますが、それ以外に個人、さらに政府や業界団体、メディアなども通じて、我々の考え方をお伝えし、アクティビストに関する啓もう活動をやろうとしています。

松本:まだ運用を始めて半年程度なんですが、かなりの数の上場企業トップに1対1で会って話をしています。加えて、社外取締役ともかなりの数で面談をし、いろいろな意見交換をしています。

ちなみに、アクティビストは世界中にいますが、トップや経営層に直接会って意見交換できるアクティビストはなかなかいません。ましてや政府や中央官庁とも対話するというのは、たぶん世界でも珍しいのではないでしょうか。私のネットワークや、今までマネックスグループがやってきたことに対する評価や信頼があって、実現できることだと思います。

その際に心がけているのが、「日本の社会の主役であり、あらゆる金融商品の最終受益者である個人の方々がこういうことを言っています」と伝えることです。そうすると、政府も企業も一気に聞く態度が変わったりしますね。

小野塚:ここ7年ぐらいでしょうか、第2次安倍政権が発足したところから、日本でもコーポレートガバナンス改革が導入されました。政府の成長戦略の一つとして導入されましたが、それによって企業が説明責任を果たしていくという土壌ができました。

松本さんに聞きたいのですが、直接経営層と意見交換するとは言っても、なかには警戒してしまう企業もあるのでしょうか。

松本:あります(笑)。企業の経営トップの方は例外なく「はい、お話ししましょう」という感じなのですが、社外取締役の方の中には身構えてしまう人もいます。でも、社外取締役は株主のために存在する役割ですから、それを変えていきたいですね。