はじめに

仏では6割がガイドブックを購入

統計を調べてみると、インターネットなどに押されがちなイメージのガイドブックも、まだ一定数の需要はあるようです。

JTB総合研究所が2018年、「新しい技術やサービスの広がりとライフスタイル・旅行に関する調査」というレポートを出しました。それによると、3年前と比べ、旅行の情報収集に「紙のガイドブックを持っていく」ことを「変わらない」と答えた人の割合は46.7%でした。「紙のガイドブックを持っていく」ことが「減小した」と答えた人も22.8%いました。

フランスの標識

海外はどうでしょうか。私が暮らすフランスは長期休暇を取る人が多く、「バカンス大国」と言われています。フランスの調査会社GFKの2020年の統計を参照すれば、フランスの場合、59%の人が旅行前に紙のガイドブックを購入するそうです。インターネットにずいぶん代替されてきた部分はあるかもしれませんが、まだ需要があると言って良さそうです。

玉石混合のネット情報

ブログやSNSの利点は「スピード」「情報にお金がかからない」点です。ガイドブックの場合は、世に出るまでどうしても時間がかかってしまいます。

掲載には施設の許可を取って、文章や画像をそろえ、誌面のデザインを組み、校正などを経て1冊のまとまったものが作られるからです。1年に1回、内容を最新の情報に更新して発売するとしても、やはり情報のタイムラグは生じます。

またガイドブックは「定番」の場所をまず押さえることが必要であるため、旅行の目的が多様化した現在では、限られた誌面ですべてをカバーしきれるわけではありません。

一方で、インターネットの情報は無料かつ新鮮ですが、玉石混交です。ガイドブックでは、あまたの情報を精査して掲載します(もちろん個人ブログなどでも、そのようにきちんと提供しているものはありますが)。

インターネット内に情報量が氾濫している今だからこそ、有料でもきちんとしたものを手に入れたいと思う人は、一定数存在するはずです。

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