はじめに

配送費でアマゾンに負けない

2つ目は、配送をしないことだ。各店舗に在庫があり、お客様に店舗でお渡しできれば配送費は不要だ。現在はワークマン公式オンラインストアで宅配サービスを行いつつ、店舗受取サービスを推奨している。店舗受取なら配送料が無料になる。

注文金額1万円未満の宅配は有料だが、それでも好むお客様はいる。ワークマン公式オンラインストアを利用するお客様の3割は宅配希望だ。

だが、その層は残念ながらあきらめる。そこで勝負したらアマゾンに負けるからだ。

アマゾンとガチンコ勝負して100%負けるなら、絶対に負ける宅配の3割は将来性がない。宅配希望者の多くはワークマンの店舗が少ない都心の居住者だ。そのため、当社は都心への出店も計画している。ただ、当社の売上に対する家賃比率目標は3%のため、銀座、新宿、原宿、渋谷などへの出店は難しい。

ワークマンにあってアマゾンにないもの。それは店舗だ。残り7割のお客様がきてくれる店舗を十二分に活用する。店舗で受け取ってもらうと、他の製品を見てもらえ、次回来店につながる。

デザインはネットでも見られるが、機能は難しい。思ったよりやわらかい、びっくりするほど伸び縮みするなど、実際に触らないとわからないことが多い。

一般的なカッパはゴワゴワしているが、ワークマンのレインウェアには、普通のアウターとして着られるくらいやわらかいものがある。私はそれが気に入って日頃から着ている。そういうものがあると、知ってもらう機会をつくるのが各店舗だ。

データでは1回店舗にきてもらった一般客は、6~7割が固定客化する。職人さんなどのプロ客は9割以上が常連客になる。

だから3割の宅配希望のお客様をあきらめ、店舗にきてもらうお客様を固定客化することで勝負する。

たとえば、30歳で固定客になってもらえば、70歳くらいまで店舗にきてもらえる。

ワークマンの一般客の1回の買い物額は平均3000円。年間平均来店回数が3回、それが40年続くと、一人当たり36万円使っていただける計算になる。

将来的に、山手線内に店舗ができれば、一切宅配をやめる。3年かかるか5年かかるかわからないが、やめるのは間違いない。

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