はじめに

出遅れ欧州株は挽回に注目

他の地域と同様に、足元で再び新型コロナの感染が広がる欧州の2021年は、感染拡大による行動制限、景気停滞の負の連鎖を断ち切ることができるかどうかがポイントです。そういう意味では、英国でいち早くワクチン投与が始まり、その他欧州域内でもワクチン投与にメドがつきつつあることは、朗報として受け止められるでしょう。

12月のECB理事会では追加緩和策が導入され、欧州復興基金も近い将来の稼動が見込まれています。財政・金融の両面からのサポートは、欧州株を元気づけるのに一定の役割を果たすと考えられます。

2020年の欧州(ユーロ圏・英国)経済が10%前後のマイナス成長に至った一方で、2021年は4~5%台の成長が予想されています。企業業績の方も汎欧州株価指数(STOXX600)ベースで、2021年は3割以上の増益が予想されています。

こうしたファンダメンタルズの改善を信じるのであれば、欧州株に対する目線はあくまでも上向きとすることができるでしょう。2020年は株価の戻りで大きな後れを取った分、2021年の挽回には期待が寄せられます。

他方、欧州株のリスクを考えたとき、真っ先に思い浮かぶのは、英国EU離脱の移行期間終了の影響です。英国とEUは12月24日、土壇場で新たな自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉で合意しました。

貿易その他のルールが整わない状態での離脱は何とか回避されましたが、離脱後の双方の経済に与える影響は未知数です。域内経済の結びつきの強さを考えると、その悪影響は欧州全域に及ぶ可能性があるため、要注意です。

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