はじめに

すばやく行動し、軌道修正していく

「答えのない世の中を生き抜くためには、時間をかけて考えてから行動するやり方では間に合わず、まず、すばやく行動し、動きながら軌道修正していく」、つまり「アジャイル」(すばやい、俊敏)な意思決定が重要です。

間違えず正確に意思決定する」から、「意思決定を間違えても、大きな損失や悪影響が生じないようにする」ように、発想を転換するのです。このことを、身近なわかりやすい例で考えてみましょう。

Mさんは念願のマイホームを購入することを検討しています。しかし、30年の住宅ローンを組む大きな買い物です。物件は数えきれないほどあり、売り出し価格や最寄り駅、間取り、周囲の環境など、多くの条件を考慮しないといけません。それらを分析し、最適な物件を見つけられたとしても、隣に騒がしい住人が住んでいるかもしれない、そんなことを考えているとなかなか意思決定できません。

一方、もし決まった金額を払えば、魅力的な新築物件に住むことができ、気に入らなければ別の物件にいつでも移ることができるとしたら、どうなるでしょうか。物件を決める意思決定は格段に簡単かつスピーディーなものになるはずです。

こうした状況を、ビジネスの現場でもつくり出せばよいのです。そのためには、意思決定の種類、内容、判断軸等を掘り下げて可視化し、理解して社内で共有しておくことが重要となります。

間違えてもやり直しがきく環境をつくることでアジャイルに大胆な行動を起こすことが可能となり、VUCA時代を生き抜くことができるのです。

『オペレーション トランスフォーメーション ニューノーマル 「変革」する経営戦略』 新 将命 著


先の読めないVUCA時代に、企業が生き抜くためには、何を、どのように変えるべきか。
「幅広い用途に転用できるコストを増やす」「個人のスキルを汎用化する」「やり直しがきく意思決定環境をつくる」といった具体的な手法を、数多くの企業変革を支援してきた著者が例示や実践方法を交えて解説。
本書を読めば、企業変革を経営トップが自分事化してとらえ、企業を抜本的に変えることができます。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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