はじめに
(4)厚生年金と基礎年金を同時に繰上げ
年金の繰下げは、老齢厚生年金と老齢基礎年金のどちらかだけ、あるいは両方とも繰下げることができます。ところが、年金の繰上げは、両方とも同時に繰り上げないといけません。
(5)国民年金の任意加入ができなくなる
20歳から60歳になるまでの40年間は必ず年金制度に加入しなければなりませんが、平成3年(1991年)3月までは20歳以上でも学生は強制加入ではありませんでした。そのため、60歳の定年を迎えたときに国民年金の保険料を納めた期間が40年(480カ月)に満たず老齢基礎年金の額が満額になっていない人がたくさんいます。
このような人は60歳定年で会社を退職すると厚生年金から外れますので、国民年金に任意加入して満額に近づけることができますが、年金を繰上げていると任意加入できなくなります。
以上、5つのデメリットでした。
なお、2022年から年金繰上げでの減額率が少なくなりますが、昭和37(1962)年4月1日以前生まれの人が2022年4月以降に繰上げ請求しても現在の繰上げ減額率(1月当たり0.5%)のままです。
一度繰上げの請求をすると取り消しはできません。そのため、年金事務所等では繰上げを希望する人向けに減額が一生続くことや他の年金への影響について説明をするとともに、説明を確認したとの書類を取るようにしています。
繰上げのデメリットはほかにもありますので、繰上げするかどうかの判断は、慎重にお願いします。