はじめに
総選挙はいつ行われる?相場への影響は?
もう一つの注目されるイベントは、今年起こることが確定している衆議院議員総選挙です。今回の総選挙は先述のオリンピックの行方や新型コロナにより、例年より不確定要素が多くなっています。
中でも最も憂慮すべき事項は政権動向ではないでしょうか。目下の菅政権の支持率は発足直後の高い支持率から一転して、30%台で推移しており、不支持が支持を上回る状態となっています。
前安倍政権時も支持率を不支持率が上回っている状態が続く時期はあったため、これだけで今後の内閣ないしは選挙結果を不安視するのは時期尚早ではあります。一方で、コロナウイルスへの対応に対する国民からの批判も高まっており、今後の支持率の動き次第ではより厳しい状況となるかもしれません。
続いて、総選挙のタイミングと相場への影響について考えていきましょう。タイミングとしては春の選挙、都議選とのダブル選挙、そしてオリンピック終了後または任期満了近辺での解散が考えられます。マーケットの観点からするといつ選挙が行われ、どのような結果が想定されるかの2点が注目すべき点ではないでしょうか。
まず目下の新型コロナウイルスの感染状況やオリンピックの開催が不透明である点を踏まえると、春までに選挙が行われることは現実的ではないでしょう。また都議選とのダブル選挙も連立与党の公明党の反対があり可能性は低いでしょう。そうすると夏場以降が考えられます。
仮にオリンピックがない場合は約1ヶ月のオリンピック期間を考慮しないで済むため、都議会選以降から任期満了の間の期間での選挙も十分考えられるでしょう。相場の観点で見ると夏場は年間でもパフォーマンスが低い“夏枯れ”の時期にも重なるため、選挙を不確定要素として例年以上の下振れが起こるリスクに注意が必要でしょう。
加えて、選挙の結果に伴い与野党の勢力図が変わる可能性も考えておくとよいかもしれません。2013年からの株高はアベノミクスと呼ばれた一連の経済対策をはじめ、7年8ヶ月と続いた安倍前首相による長期安定政権によってもたらされたとも言えます。
新型コロナウイルスなど一連の対応の信を問われる今回の選挙は、今までの長期安定政権が揺らいでしまう可能性をはらんでいます。この点がどのように相場に織り込まれていくか見極める必要もあるでしょう。
日本国内でも重大なイベントを控える2021年の株式市場。場合によっては早い段階で波乱の展開となるかもしれません。
<文:Finatextグループ アナリスト 菅原良介>