はじめに
保険を解約せずにストップする「払い済み」とは?
【図1】のとおり、貯蓄型保険を続けた場合、第2子が高校受験を向かえるころ、貯蓄が底をつき、貯蓄型保険もしくは投資商品を解約して現金化する必要が出てきそうです。
投資商品は、解約タイミングによっては大きな損失がでるかもしれないことや、長期運用により安定的な収益が期待できるため、老後資金のために残しておく方が望ましいと考えられます。一方、貯蓄型保険は、保険料の払い込み満了前に解約すると損をしてしまう可能性がありますが、「払い済み」という方法により、解約せず保険料をストップすることができます。
「払い済み」にすることで、保険期間は変わりませんが、以降の保険料負担がなくなる分、保険金額は減額されます。ただし、解約返戻金については、契約時の予定利率に応じて徐々に増えていくため、老後資金として据え置き、将来、解約すれば損をすることはありません。
留意点としては、一般的に、「払い済み」にすると特約は消滅します。また、これまでの保険料の積立額が少ないと、「払い済み」に変更できない場合もありますので、条件を含む詳細は、保険会社に確認するようにしてください。
必要な保障は掛け捨てで確保する!
少しでも手元に現金を残したいなら、安い保険料で、より高額な保障が得られる掛け捨て型の保険で備えましょう。無駄なく、かつ、万が一の場合でも、家族が安心して生活できるよう、まずは、必要保障額を把握することが大切です。
今ある貯蓄は、万が一の生活費に使ってしまうのではなく、ある程度、老後資金に残しておきたいところです。老後資金を確保できれば、保障期間や保障額は、遺族年金や就労収入でもカバーしきれない、現役中の生活費や教育費、住居費などから計算すればOKになり、整理がしやすくなります。
夫が万が一のときにはどうなる?
ご主人に万が一のことがあった場合、ご主人名義の住宅ローンの支払いはなくなります。遺族年金の受給額は【図3】が目安です。
遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに受け取れますが、遺族基礎年金は、お子様が18歳の年度末で終了します。一番、教育費がかかる大学進学時に社会保障が手薄になる点は押さえておきましょう。児童扶養手当や奥様の収入を合わせて月額15万円ほど見込めるという前提で、現時点での必要保障額は2,400万円程度と推察されます【図5】。保険期間中の保障額が変わらない定期保険に加入し、必要保障額に合わせて徐々に解約して減額していく方法もありますが、毎月、給与代わりに保険金が受け取れる収入保障保険でカバーする方法もあります。教育費がピークを迎える時期を重視して、例えば、毎月15万円が受け取れる収入保障保険に65歳まで加入するという考え方もあります。