はじめに
企業の働き方改革支援を事業としているクロスリバーは、ビジネスパーソン1万8000人を定点カメラ・ICレコーダー・GPSで調査、AI分析した結果、人事評価で「トップ5%」の評価を獲得していた社員には、再現性の高いルールがあることを発見しました。元日本マイクロソフト業務執行役員、現在はクロスリバーの代表取締役社長CEOである越川慎司氏の著書『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から抜粋して紹介します。
トップ5%社員は、メールの返信が15分以内
「5%社員」の行動の特徴は、反応が早いことです。
社内外から送られてくるメールやチャットに、素早く反応します。相手を待たせれば待たせるほど、その仕事の進捗は遅くなります。また、相手を待たせると、その分、相手の返信も遅くなります。
皆さんも経験があると思いますが、金曜日の夜、「あと1本相手からの電話やメ
ールがくれば仕事が終わるのに、なかなかそのメールがこない」という状況を思い浮かべてみてください。「あいつ、何やってんだ!」と苛立つでしょうが、そういった原因の6割がこちらの返信・反応が遅かったことに起因しています。
相手からの依頼や確認に即応していれば、それだけ仕事の進むスピードが速くなり、効率化が進むのです。
「5%社員」は即応を実践するために、メールの送り方も工夫をしていました。
特に注目すべきは、メールの文字数です。私たちが調査した結果では、「5%社員」が送るメールは極めてシンプルなものでした。
これはAI を使って行った分析でも明らかになっているのですが、実際、メールの本文が105 文字を越えると一気に閲覧率(相手に読まれる可能性)が下がります。
とりわけ役職が上の人ほど、丁寧さよりも要件が明瞭に伝わるコンパクトさを重視することもわかっています。いかに、少ない労力で相手を確実に動かすか。
「暑い日が続いておりますが」や、「先日の会合では大変いい時間を過ごすことができました」という表現は、「5%社員」のメールにはほとんどみられません。
社内メールなら、「お疲れ様です」のひと言もありません。
また、「即メール返信」は、グローバルエリートも実践しています。
世界中のエリートたちはいくらスケジュールがぎっしりでもメールの返信がとにかく速いのです。多忙を極める著名経営者や国会議員、そして仕事のできるビジネスパーソンの多くが「メールは即リプライを実践している」と言っています。
ここまで簡略化されると、「ドライだ」「失礼だ」という人もいるかもしれませんが、実は、「そう思われないこと」にこそ、彼ら「5%社員」の秘訣があります。彼らは日ごろから、重要なメールを送る相手(上司や取引先)と密なコミュニケーションを取っており、メールに「お疲れ様です」のひと言がないぐらいでは、どうこう言われるような関係ではないのです。
「5%社員」のメールは非常にコンパクトでありながら、受け取る側に冷たい印象を与えません。メールの文章が短いということは、打つ時間も短くてすむため、他の仕事に時間を充てられています。相手からの反応も早いので、すべての仕事を迅速に回すことができるのです。