はじめに

資源価格が下落

また、インドネシアの景気を冷え込ませてきたもうひとつの要因と考えられるのが、主要産業のひとつである鉱業の不振です。インドネシアはASEANのなかで有数の資源大国で、原油、天然ガス、石炭、ニッケルなどが主力産品となっています。

ここ数年は、中国を中心とした世界的な資源需要の落ち込みによって、価格も大幅に低下しています。インドネシアでは資源関連産業の従事者が多く、価格の下落がインドネシア経済、消費者のマインドなどに大きな影響を与えています。

しかし、昨年後半あたりからこの状況に少し変化の動きが出てきました。一番大きな変化が、資源爆食国である中国の景気回復の兆しが見え始めていることです。中国経済が回復基調にあるなかで、中国ならびに世界の資源需給を改善させています。インドネシアにとって明るい材料といえるでしょう。

ニッケルが救世主?

そして、もうひとつ重要なポイントが、インドネシアの主力産品のひとつであるニッケルの需要増です。インドネシアは世界最大のニッケル埋蔵量を有し、世界のニッケル生産の約30%を占めるニッケル大国です。

直近は電気自動車のバッテリーなどに使われるニッケルへの需要が急増しています。そんなおり、1月11日には、ジョコ大統領が、「今後5年間、国内のニッケル川下産業の開発に注力する」と、表明しました。

また、個別企業の動きも早く、直近は各社が、ニッケルの確保に向けて手を打ち始めています。韓国のLGエネルギーソリューションがインドネシアの現地企業とMOUを結んだほか、中国の電池最大手CATLや米国テスラ自動車などもインドネシア企業との事業提携やニッケル事業への参入の意向を示しています。

世界が脱炭素、EV推進の動きを強めている中で、当面、インドネシアのニッケルへのラブコールが続きそうです。インドネシア経済全体への現時点でのインパクトは小さいものの、新たな潮流として注目されます。

<文:市場情報部 副部長 明松真一郎>

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