はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。

昨年2人目が生まれ、中古分譲で買った2LDKのマンションが狭くなってきました。しかし、住み替えする資金もないため、リフォームして今後も住み続けようと思っています。築20年であちこち古くなり収納も少ないため、思い切って全部をまとめてリフォームすべきか、あるいは今一番不便を感じているキッチン・リビングから……というように何回かに分けてすべきか迷っています。また、リフォームに関わる減税などの制度についても教えてください。
(40代前半 既婚・子供2人 女性)


野瀬: リフォームを行うという質問者の判断は、よい判断だと思います。

同じような状況になった場合、今の高い不動産市況のなか、多少無理しても大きめの不動産を買ってしまう人は多いので、賢明な判断だと思います。

まだお子さんが小さいうちは2段ベッドでも対応できると思います。

リフォームはまとめてした方がいい理由

さて、総合的に考えると一気にやってしまったほうがよいでしょう。理由を以下に述べます。

(1)値引き交渉ができる

当然ですが「あれもこれも」とたくさんの工事をお願いする場合は、ひとつひとつ細かい工事をお願いするよりも業者に対して値引きの交渉がしやすいです。

それはたくさんの仕事がもらえて、業者も気分がいいからです。臆することなく値引きをお願いしましょう。

また私は学生時代、工務店でずっとバイトをしていたからよくわかるのですが、どんな小さな区画のリフォームでも、機材や部材を運び込む必要がありますので、その機材や部材で家の中を傷つけないように、シートやテープを家の中やマンションの共用部分に取り付ける「養生」といわれる作業を行う必要があります。

これも工務店さんからみればコストなので、当然リフォームの値段に跳ね返ります。こういったコストを抑える意味でも、リフォームは一気にやってしまったほうがよいでしょう。

(2)精神的負担が減る

リフォームをすると当然しばらくの間、他人が家の中に入り、昼間は誰かが立ち会いますから、緊張が続きます。ずっと家にいらっしゃる場合は、質問者やお子さんに与えるストレスもあるでしょう。

こちらの受け入れ態勢を考えても、リフォームは一気にやって工期を短くすることに越したことはありません。

(3)税金面での優遇

ご質問にあった税制面からも、リフォームは一気にやってしまったほうがよいでしょう。なぜならリフォームでも住宅ローン控除が適用できるからです。細かく小さくリフォームを分けた場合は、住宅ローン控除の対象にならない可能性が高いのです。

詳しくは国税庁ホームページの「増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」の2(2)ロ・ハ及び(6)を見てください。

マンションのリフォームで住宅ローン控除を受けようとする場合、以下の要件を満たす必要があります。

・その居住スペースの過半をリフォームする、または浴室やキッチンなど、まるまるひと区画をリフォームすること
・工事費用が100万円を超えること

ですから、リフォームはまとめてやってしまったほうが税制面の上ではよいのです。リフォームを行った後は、しっかり確定申告をして税額控除を受けてくださいね。

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