はじめに

銀行口座がなくても使えるデジタル通貨

暗号通貨を契機としたデジタル通貨の研究開発は、民間企業、中央銀行においても活発化しています。

フェイスブックは、法定通貨等を裏付け資産とし、価格を安定化させたデジタル通貨「リブラ」を2019年に提唱しました。世界中の銀行口座を持たない人(17億人いるとされる)でも金融サービスを受けられるようにする目的としています。世界の金融規制当局からの猛烈な反対にあいましたが、名称をディエムに変更して承認を目指しています。

一方で、各国中央銀行も自国通貨を裏付けとしたデジタル通貨(CBDC)の研究を本格化させています。CBDCは法定通貨を紙幣ではなくデジタル化したもののため、高い信用性を保ちながら、即時決済や、低コスト化など利便性をもたらすでしょう。

すでに2020年10月、バハマ中銀が「サンド・ダラー」を、同時期にカンボジア中銀が「バコン」の正式運用を開始しました。これらの国ではスマホさえあれば金融サービスを低コストで享受できるという金融包摂の意味合いが強くなっています。

他にも、中国では2022年2月の北京冬季五輪を見据え、デジタル人民元の大規模実証実験を繰り返しています。日本でも日銀が2021年度に実証実験を開始すると発表しました。

2021年1月27日に公表された国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界全人口の2割をカバーする地域の中銀が、今後3年以内にCBDCを発行する可能性が高いとされています。デジタル通貨の普及はそう遠い未来ではなさそうです。

食の安全、コピー商品防止、ブロックチェーンの可能性

ブロックチェーンはデジタル通貨のみならず、様々な分野においても革新やコスト削減をもたらす可能性があり、ビジネスの効率化やサプライチェーンにおける活用が始まっています。米調査会社によると、ブロックチェーンの市場は2020年に30億米ドルだったものが2025年には397億米ドルへ拡大すると予想されています。

米IBMは、ブロックチェーンの追跡技術を使って、食品業界に革命を起こしています。同社のプラットフォーム「Food Trust」は、食の生産地から小売り店舗の棚に並ぶまでの仕入れルートを追跡することが可能です。

この技術によって、食品偽装を防ぐことや鮮度を担保することで食の安全性を確保。さらにサプライチェーン全体を把握することでフードロスに繋げています。同プラットフォームには、ウォルマート、ネスレ、ドールなど名だたる企業が参画しています。

世界では10人に1人が食中毒にかかり、毎年42万人が死亡しているそうです。さらに果物や野菜の3分の1が、消費者に届く前に劣化し破壊されるという「フードロス」問題を引き起こしています。ブロックチェーンがそのような長年の課題を解決する糸口となりそうです。

さらに、ブロックチェーンの追跡技術は、医薬品やブランド品における模造品防止などでも研究が進められています。

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