はじめに
党派対立が続き、年後半の増税幅拡大も
バイデン大統領は就任演説で、「保守派とリベラルを対立させる、この不穏な国内対立、このまともでない戦いを終わらせなくてはなりません」と高らかに宣言しました。
しかし、実際にはあのトランプ政権でさえ用いるまでおよそ2年かかり、任期中1回だけしか用いなかった財政調整措置を就任からわずか1ヵ月で用いようとしています。
また、来年度予算を可決するために年後半に再び用いるのも確定的となっています。財政調整措置が多用されるようになると、共和党との党派対立はさらに先鋭化します。バイデン政権の議会運営はトランプ政権よりも攻撃的と言えるでしょう。
共和党はバイデン大統領の公約である法人税やキャピタルゲイン増税に反対していますが、ここでも財政調整措置が用いられることを考えると、来年度予算では共和党の反対をものともせずに増税が決定される可能性が高まっています。また、共和党との間で妥協が成立し、増税幅が縮小するといった展開も考えにくくなってきます。
株式市場は米国で過去最高値を更新し、日本株もバブル後の最高値を更新するなど好調が続いていますが、アメリカンレスキュープランの大型化も直近の株高要因となっています。確かに目先の景気対策の大型化は株式市場にとってポジティブです。
しかし、党派対立の深刻化によって来年度予算に盛り込まれる法人税やキャピタルゲインの増税幅が大きくなってしまうことには警戒する必要があります。
※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません。