はじめに
「一時金受け取り」3つの落とし穴
退職金を受け取っている人の大半は税金差し引き後の手取り額を考えて、一時金での受け取りを選んでいますが、それでよいのでしょうか。
(1)退職金は狙われる
宝くじで高額当籤をした人への注意事項として、「周りの人に話してはいけない、勤務先を辞めてはいけない」というものがあります。今まで見向きもしなかった親戚や友達が急に増えてお金を奪われてしまうからです。退職金も同じです。まとまったお金を持っていると、儲け話など美味しい話が持ち込まれて、虎の子のお金を失う羽目になるかもしれません。
(2)投資経験がないと運用に失敗する恐れがある
まとまったお金があると、お金に働いてもらおうとして、資金運用をしてみたくなるものです。しかし、あなたに投資経験があり資金運用の怖さをご存じでしょうか。金融機関からいろいろな提案がなされるでしょうが、投資経験がないと運用に失敗するかもしれません。
リーマンショック直前に退職し、退職金の多くを株式に投資をしたためあっという間に退職金を大幅に目減りさせてしまった人がいました。コロナ禍にもかかわらず日経平均株価が30年ぶりに3万円の大台に達しましたが、これからの株価は不透明です。投資経験の少ない人は慎重な行動をとっていただきたいと思います。
(3)手元にまとまったお金があると使いたくなる
待望の定年で、毎日が日曜日。今まで忙しく働いていたときと違って、定年後は時間がたっぷりあります。「なかなか行けなかった旅行に行こう、欲しかったものを買おう」このようにしていると、一時金で受け取ったお金がみるみるうちに減っていきます。玩具があれば遊びたくなる。同じように、手元にまとまったお金があれば使いたくなるものです。
「年金受け取り」も悪くない2つの理由
ここからは、「年金受け取り」も悪くない2つの理由を挙げます。
(1)退職金は老後の大事なお金
退職金は老後生活の資金として重要なものです。減らしてはいけません。まとまったお金があると、つい使ってしまう人、計画的にお金を使えない人にとっては年金で受け取るほうがお勧めです。退職後、老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせた満額を受け取れるまでの生活資金になるということもお忘れなく。
(2)自分で運用するよりも高利回りかも
企業年金は受け取っている間も利息がつきます。総受取額は、一時金で受取る額よりも多くなる可能性は十分にあります。株価は上がっているのに、定期預金や普通預金の金利はまったく低いのが現実です。ご自身で運用するよりも、高利回りになるかもしれません。