はじめに
産業廃棄物処理のビジネスチャンスは大
産業廃棄物処理は非常に重要な仕事であり、その仕事を担うには各地域を管轄する地方自治体の許可が必要となりますが、日本全国には約11万もの処理業者があるとされています。産業廃棄物処理の国内市場規模は5兆円程度と決して小さい市場ではありませんが、参入業者には中小零細企業が多いという特徴があります。
今後の「循環型社会」の高度化を目指すにあたり、産業廃棄物処理業者など静脈産業に属する企業のスケールアップが必要であるといちよし経済研究所では考えています。理由は、残渣物の削減や複合素材の再資源化を効率よく推進するためには、大型シュレッダーなどの機械設備や技術力が必要と考えられることが挙げられます。またビジネスエリアが広がることにより、輸送コストの削減など効率的な運営が図られる可能性もあるでしょう。
既に欧米には廃棄物処理事業で売上高1兆円を超える企業が存在していますが、日本の上場企業では最大級のダイセキ(9793)でも売上高500億円強にすぎません。しかし「高度循環型社会」が目指されていくなかで、産業廃棄物処理の技術や経験がある上場企業のビジネスチャンスは大きいと考えます。
今後は人手不足や後継者不足が続く中小零細企業を巻き込んだ業界再編が加速する可能性もあるでしょう。さらに事業基盤が強化された企業には、木質廃材を使ったバイオマス発電や車載用リチウムイオン電池のリサイクルといった関連ビジネスへの展開も十分に考えることができるでしょう。
<文:企業調査部 張谷幸一>