はじめに

「相続」に関連するサービスの注目が集まるなか、財産の承継をスムーズに行う有効な手段として、遺言信託業務をはじめとする相続関連業務が注目されており、信託銀行等では、遺言書の保管から財産に関する遺言の執行までを行う遺言関連業務は平成27年で10万件を超えています。

故人の遺産の分け方で揉めるような、相続争いを避けるためには遺言書の作成が大切ですが、銀行・信託銀行の提案する遺言信託の留意点が今回のテーマです。


意外に難しい自力での遺言書作成

遺産分割による相続争いを避けるため、遺言書の作成という手法があります。

一方、遺言書の作成は想像以上に難しく、自力で書き方を調べたり、書こうとしてみても挫折し、専門家の手を借りたいと思われる方も大勢います。また、法的な争いにならないようにしておくには遺言書が有効でないといけませんが、一般の人が作成しても法的な不備があって有効性に疑義が生じてしまうことがしばしば。

このような状況を踏まえ、信託銀行や銀行などの金融機関を中心に、「遺言信託」というサービスが登場し、注目を集めるようになりました。しかし、そもそもの遺言書作成や遺産分割、遺言執行の流れやポイントを把握していないと、遺言信託の利用は無駄な出費やトラブルの元になりかねないため、気をつける必要があります。

遺言信託とは何か?

遺言信託は、信託銀行や銀行などの金融機関が、遺言書作成のサポートと保管、財産目録の作成、遺言の執行などを行ってくれるサービスです。遺言書作成のサポートは金融機関側が公証人や証人を紹介し、公正証書遺言の作成をサポートし保管も担当してくれます。また、遺言の執行は、遺言の内容に沿った財産分割や登記の変更、公にしていない子の認知手続きなどを行ってくれます。

一見便利なサービスに見えますが、提供サービスにコストが見合っているかという点には注意が必要です。

遺言の作成・保管

遺言の作成と保管ですが、公正証書遺言であれば、公正証書役場で公証人が作成してくれますし、公証役場で原本を保管してくれます。また、財産目録の作成も相続税の計算や申告の段階で、税理士が通常業務の一環として行ってくれます。

遺言の執行

遺言の執行に関しては、元々よほど混み入った事情がある場合を除いては、特別な手間もスキルも必要ありません。一般の主婦でも可能なものです。どうしても面倒であれば、士業の人間に日当を支払えば行ってくれる内容です。

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