はじめに

統計が示す「平均時給」のカラクリ

さて、この米3月雇用増ですが、事業所調査ベースでは上述したように前月比91.6万人増でしたが、家計調査ベースによると60.9万人増でした。あくまで筆者の見解ですが、完全失業状態から雇用された人だけではなく、ダブルワーク、トリプルワークみたいな人もかなり増えたのではないかと思われます。

なお、同時に発表された失業率も前月の6.0%から2ポイント完全して6.0%となりました(事前予想6.0%)。
非農業部門雇用者数、失業率はかなり強い内容となった米3月雇用統計でしたが、米3月平均時給上昇率は、予想以上に損化する内容となりました。

不況時や今回の新型コロナウイルスの流行のような異常事態に、最初に解雇の犠牲になるのは低賃金層です。終身雇用制のジャパニーズ・サラリーマンでも、やはり最初に犠牲になるのは高所得の上層部ではなく低賃金層の方になると思われます。低賃金層が雇用を失うと、全体に占める高所得層の割合が高まり、平均時給は上昇する傾向があります。

逆に、雇用は急回復してくると、低賃金層の就業が目立ち、雇用者に占める低賃金層の割合が高くなるために、平均時給は低下する場合が目立ちます。今回の平均時給は後者が当てはまると筆者は考えています。

前月も触れましたが、昨今は「米インフレ懸念」「米インフレ見通し上昇」というのが相場のテーマとされてきたことで、平均時給も注目され始めてきているはずですが、今回の予想より鈍化していた平均時給上昇率は、一方的に相場の動きをけん制するものになったと思われます。