はじめに
米雇用統計発表後の為替市場を振り返る
4月2日(金)は、通常の米雇用統計発表日に比べて市場参加者が極めて少なかった日でした。イースター休暇前のグッド・フライデーでアジア時間ではオセアニア市場休場、香港市場休場、シンガポール市場休場、欧州主要国休場、米株式市場休場、米国債市場も前場で終了でした。海外では勤務に関しては日本人以上にメリハリがありますので、筆者のNY駐在時の経験から考えると、為替担当者の外国人もあまり出勤していないのでは、と思われます。
このように市場参加者が極めて少ない中で発表された米3月非農業部門就業者数の強さには筆者も驚かされましたが、為替市場の反応は意外なものでした。ファーストリアクションはドル買い、米国債利回り上昇となりましたが、すかさずドル売り、米国債利回り低下となりました。頭にこびりついていた「米インフレ懸念」期待が、米3月平均時給で一気に冷まされたからではないかと筆者は考えています。
その後、さらに市場参加者が少なくなっているはずのNY午後に入り、為替相場は小康状態。米株式市場は休場、米国債市場は半ドンでクローズとなっており、動きがほとんどなくなりました。
ドル高と言っても、米雇用統計前に1ドル110円50銭近辺にいたドル円は指標発表で110円75銭近辺まで上昇した程度で、ドル円はすぐに頭打ち。対ユーロや対英ポンドではドル高が進んだものの、NY午後にはすぐにポジション調整でドル弱含みと、米雇用統計が、短期投機筋やA.I.以外にはほとんど材料視されていなかったことが証明されたと思われます。
昨年末から円安相場を予想してきた筆者ですが、今回の米3月雇用統計の反応を見る限り、超過剰流動性下における平和ボケに近い楽観トレードはいったんポジション調整に入るのではないかと見ており、4~6月期は1ドル106~107円方向と予想しています。年後半は1ドル112~113円方向に再び向かうでしょう。
<文:チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄>