はじめに

外部から「儲かる仕組み」がわからないようにする

これまでと同じやり方では儲かりそうにないことでも、やり方しだいで儲かる仕組みに変わります。たとえば、Googleは有料だったインターネットのポータルサイトを無料にしました。ただし、これだけでは収益性がないので他社は手を出しませんでした。

同社はたくさん集まってくる閲覧者を対象に、「ウェブ広告会社」という新しい業態をつくり上げました。しかし、他社には儲かる仕組みがわからなかったため、追随する会社はありませんでした。そして、他社が追随してくるまでの間に、圧倒的に優位な地位を確立しました。なお、Googleがこの仕組みをつくったのは、起業してすぐの頃ですから、文字通り小さな会社のときでした。

また、ほかの事例として、東京にスター・マイカ株式会社という不動産仲介業者があります。同社は山手線の沿線のマンションを対象に、「オーナーチェンジ」に特化したビジネスモデルで急成長しました。

マンションに入居者がいる状態で、所有者(賃貸人)が変わることを「オーナーチェンジ」といいます。しかし、入居者がいると売買がしにくいので、大手の不動産会社は取り扱いをしたがりません。そこに目をつけた同社は「オーナーチェンジ専門の不動産売買」という「生態的ニッチ市場」を開拓して、オンリーワン(少なくともニッチトップ)の市場を手に入れました。

同社は、マンション1棟のうち数物件しか買わないという分散投資を原則として成長しました。しかし、上場を果たして以降、マンションの1棟買いなど、生態的ニッチから少しずつずれ出したようです。したがって、強力な競争相手が現れる可能性が出ています。

なお、同社は今でこそ上場企業ですが、このビジネスモデルを考え、実践したのは起業時だったことから、小さな会社でできることの可能性の大きさを示しています。

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