はじめに

不妊治療の保険適応化で卵子凍結はどうなる?

――不妊治療の保険適応化が検討されていますが、卵子凍結をとりまく状況にも影響があると思いますか?

菊地:保険適用になると国のお墨付きの治療となるので、体外受精への後ろめたさは減っていくと思います。その延長線上で、体外受精のステップのひとつである卵子凍結もハードルが下がる可能性があるでしょう。

ただ、社会的適応の卵子凍結にも保険が適用されたり、卵子凍結の料金が下がったりといったことは残念ながら当分ないと思います。

政府ががん患者さんに対する卵子凍結に補助を出す動きを発表していますが、これには賛成です。抗がん剤や放射線治療が始まって卵巣の機能を失う可能性があり、さらにがん治療でお金もかかるという人に、優先して補助してあげるのは納得がいきます。

一方で、医学的適応と同様に、社会的適応の卵子凍結にも何らかの形で補助はあるべきです。夫のご病気の関係で妊娠や出産を先延ばしにするしかない方や、キャリアを考えると今は妊娠できない方など、どんな理由であれサポートはされてほしいと思います。

女性にとって一つの武器になる

――卵子凍結を考えている女性に対して伝えたいことはありますか。

菊地:妊娠をするかしないか、いつするかを決めることは、人権のひとつですが、生物学的には妊娠には限界があり、35歳頃から難しくなっていく事実は揺らぎません。お金は貯めることはできても卵子の年齢はどうにもなりません。

それを知っていれば、卵子凍結は一つの武器になります。もちろんリスクはゼロではないですし、100%の妊娠を保障するものではありません。しかし、そのリスクや事実を知った上でやるのではあれば本人次第ですし、他人が咎めることではないと思います。将来の子どもや家族のことを考えて凍結をするなら、全く後ろめたさを感じる必要がないのではないでしょうか。

一方で、日本では妊娠・出産のタイムリミットが過ぎそうになってから卵子凍結を考える人が多いです。すでに述べた通り、高齢になってからの卵子凍結では効果が低くなってしまいます。

特にマスコミの影響からか、40歳、50歳でもすべての人が簡単に産めると本気で思っている人はまだまだ少なく ありません。自分の将来や体を真剣に考え、健康に投資するという考え方を持ってほしいと思います。

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