はじめに

できれば30代半ばまでに

――「卵子を凍結できるのは40歳まで、子宮に戻せるのは50歳まで」などと年齢制限を設けるクリニックもあります。卵子凍結は何歳頃までに行うべきだとお考えでしょうか。

菊地:「何歳から妊娠能力が低下するのか」という問題です。体外受精も35歳を過ぎると成功率は下がるので、やはり35歳前後までに卵子を凍結するなら意義があると思います。

そもそも卵子は、お母さんのお腹の中にいた頃に作られたものをずっと持っているだけです。新しく作られることはなく、年齢とともに質は低下し、量も減り続けていきます。一般的に10代、20代で極端な差はありませんが、30代半ばを超えると量は急激に減ると言われています。20代~30代前半で、卵子の質がよく量が多い時期にたくさん凍結しておくと、メリットが大きいと考えられます。

――凍結した卵子による妊娠率についてはどうでしょうか。

菊地:論文やデータによって異なりますが、だいたい1割程度とされています。ただ、これは卵子凍結時の年齢が高い人のデータも含まれている可能性があります。35歳未満で卵子凍結した人に限定すれば、成功率はもっと高いかもしれません。一方で海外では、提供卵子による妊娠では、年齢層でも出産に至るまでの確率はたいして変わらないというデータもあします。

――母体の年齢は妊娠率に影響しないのでしょうか

菊地:子宮筋腫や子宮腺筋症など子宮の病気がある方は妊娠が難しくなります。ただ、野田聖子さんがアメリカで卵子提供を受けて50歳で出産されたように、医学的には子宮に問題がなければ何歳になっても産めます。

海外でも提供卵子を使って女性が60代で出産した海外の例を聞きますよね。とはいえ、学会などが子宮に戻す年齢を制限しているのは、やはり高齢妊娠にはそれなりのリスクがあるためでしょう。やはり高齢での妊娠は生命に関わる重篤な合併症を起こす可能性が高くなるため、40代前半までに産むのが理想的ではあると思います。

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