はじめに

早期リタイアは十分に可能! その方針は?

今後、少しは働きながら資産を取り崩して生活をされることをご希望されていますが、十分可能だと思います。ご自身のやりたいことを中心に、人生を謳歌されると良いと思います。

FIREとは、欧米で流行っている人生を楽しみながらお金に縛られない生き方をさします。そのためには、一つの目安として、現状の年間生活費を4%程度で割った金額が必要とされています。質問者の場合、月々の生活費が20万円であり、年間で240万円。これを4%で割ると6,000万円となります。6,000万円を毎年運用により4%程度増やすことができれば、自由な生活ができることになります。

相談者の場合、今後も少しは働くことを希望されています。仮に年間で120万円を運用資金から取り崩しながら生活する場合、運用金額の目安は120万円÷4%=3,000万円となります。そのため、現状の投資総額1,600万円を3,000万円まで増やし、年4%程度の運用が出来れば生活費は確保できることになります。

仮にあと1,400万円分投資に振り向けても、現状で貯蓄が5,600万円あると言えるため、運用でよほどの失敗をしない限りはご希望通りの生活が出来ると考えます。

運用内容のバランスは?

気になった点を申し上げます。それは米国株式にかなり偏った運用となっていることです。もちろん、経済大国である米国を中心に運用することでコツコツリターンを稼ぐやり方は良いと思います。ただ、万が一何かあった場合の備えも念のため考えておかれた方がよいのではないでしょうか。

そこで、世界全体に投資するような債券型のファンドやREITなども組み込み、アグレッシブながらも何かあった場合に備えることが出来る運用スタイルが良いのではないかと思います。世界共通資産ともいえる貴金属の割合ももう少し(最大で資産の5~10%程度)増やされてもよいと思います。

つまり、現状の米国株式運用はそのままでOKであり、追加して債券型やREITを組み込む、そして貴金属の割合を高めていくとよいでしょう。例えば債券型に800万円、REITに400万円、貴金属に200万円分投資してみてはいかがでしょうか。あとは、半年に一回ほど満足のいく運用が出来ているかどうかを確認しリバランスを実践されるとよいと思います。

なお、こうした配分においても、米国株式の比率はかなり高いままです。とはいえ、まだお若いですし、中長期的な運用で稼ぐスタイルも適用できるでしょうから、構わないと思います。

保守的に行くのであれば…

保守的に行かれるならば、さらに債券型投信やREITの比率を高めるとよいでしょう。例えば、3,000万円の運用資金のうち、40%は米国株式関連、30%は世界債券型投信、20%を世界REIT関連、10%を貴金属といった割合にしてもよいかなと思います。貴金属は、金を主体にしつつ、電気自動車などの触媒として今後多く利用が期待されるプラチナなども投資対象として検討に値します。

最終的なご判断はご自身で行う必要があります。40歳まであと5年間ありますから、いかに貯蓄するかも大切な視点です。年間で1,000万円以上は貯蓄できる状況であることから、5年間あればさらに5,000万円貯まると思います。こうした資金をさらに投資するかはお任せしますが、無理をしなくともよいですし、少しでもリターンを稼ぎたいのであればもう1,000~2000万円のみ運用にまわしていくことも検討してよいでしょう。

そしてこれからの人生は、これまでがむしゃらに頑張ってきたご褒美だと思います。お金に縛られず、ご自身の希望するままの生き方を実践されることを願います。

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