はじめに

今期も増収増益予想の会社は?

では続いて前期も業績が好調だったのに加えて、今期(2021年度)の会社予想も好調な企業を見ていきましょう。

日本企業は原則として通期決算発表時に次の期の業績予想を発表します。企業の業績について最も多くの情報を持っているのは企業ですから、その予想の強弱は株価に大きく影響します。

ちなみに日本企業全体の傾向として、保守的な予想を発表しておいて後で予想を上方修正するというパターンが多いです。もちろん個別の企業や経済状況によって傾向が大きく変わる場合もありますが、試験で友達に90点は取れたと思うと言って80点では格好悪いけど、70点ぐらいと思うと言って結果80点の方が格好良いというのと同じ心理が働いているのではと筆者は思っています。

筆者の集計では今期の業績予想を発表した企業のうち、前期が増収増益で今期も増収増益予想だった企業は82社ありました。コロナによる影響が非常に大きかった昨年度も、徐々に影響が低減してくるとみられる今年度も増収増益見込みということで、この82社は大変優れた企業だと感じます。社会的なニーズの強さや他社と比較した際の競争優位性が大きいのでしょう。

その中から、まずはZOZO(3092)をご紹介します。オンラインでファッション関連商品を購入できる同社ですが、コロナによる店舗閉鎖が結果的に追い風となり爆発的に業績を伸ばしました。2020年度は売上高17%増の1,474億円、営業利益は58%増の441億円と最高売上・最高益を達成しました。2021年度はさらに業績を伸ばす見込みで、売上高が前期比10%増の1,626億円、営業利益が8%増の478億円の予想です。

ヤマトホールディングス(9064)とSGホールディングス(9143)も圧巻の好業績でした。ECの利用が大きく増加したことを受け、その宅配ニーズが発生しました。ヤマトホールディングスは2020年度の売上高が4%増の1.69兆円、営業利益が2倍超の921億円でした。2021年度は売上高が前期比4.7%増の1.77兆円、営業利益が3.1%増の950億円予想となっています。SGホールディングスは2020年度の売上高が11.8%増の1.31兆円、営業利益は34.8%増の1,017億円でした。2021年度は売上高が1.0%増の1.32兆円、営業利益が5.2%増の1,070億円見込みです。

筆者も洋服や日用品などをオンラインで購入することがすっかり当たり前となりました。今後もEC需要やその高まりを受けた宅配ニーズは増加傾向を続ける可能性が高いと思われます。

その他に目立ったのがカプコン(9697)です。ゲームソフトの大手で、人気シリーズの最新作「モンスターハンターライズ」が大ヒットしたほか、これまた人気シリーズの最新作「バイオハザード RE:3」などの好調な販売を受け、2020年度は売上高が前期比16.8%増の953億円となりました、営業利益は51.6%増の345億円となり営業利益は過去最高を更新しています。2021年度はさらに業績を伸ばす予想で、営業利益は前期比21.4%増の420億円とさらに最高を更新する見通しです。

ニンテンドースイッチの「集まれどうぶつの森」大ヒットなども話題になりましたが、ゲーム機が各家庭に普及したことで今後のソフト販売にも好影響がありそうです。

まだまだご紹介できていない企業がたくさんありますが、ぜひご自身で気になる企業の決算をチェックしてみてください。企業の業績と株価は非常に密接にリンクしますので、企業決算を調べることはご自身の投資成績向上に非常に良い効果があるはずです。

<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕>

この記事の感想を教えてください。