はじめに
固定費の削減は可能?
食費3万円、車両費0円、お小遣い0円など、非常に堅実な家計運営をされていますね。今は、お子さんが小さいので食費は3万円でおさまるでしょうし、お小遣い0円、車両費0円ということもあり得るでしょうが、今後、子どもの成長に伴って、固定費はどんどん増えていきます。最低限であれば、支出は20万円程度が可能で、出産などで出費が重なったため一時的に支出が増えているということですが、子どもにかかる費用は、「思いがけない」出費が多いということが特徴です。
では、どんな費用が増加するということですが、子どもがいれば、一緒に出かけたり、買い物に行くための自動車購入費用がまず想定できるでしょう。すでに住宅ローンを返済中で、節約できることはしっかりとされていますので、さらに自動車ローンを組むということはお勧めしません。今後、自動車を持つかどうかは、子どもの予定と一緒に考えてみてください。自動車関連の費用は、購入費だけでなく、維持費としてガソリン代、車検代、タイヤ、オイルなどの消耗品代など、ジワリと家計に負担がかかります。
次に保険料の2万7,000円は、内容までわからないのではっきりとアドバイスできませんが、もし子どもがもう一人増えるのであれば、夫に何かあった場合の遺族補償を多くせざるを得ませんから、当然保険料の負担は増えます。
固定費の増加を緩やかにする工夫を
このように述べていくと、「これ以上」の固定費の削減はできず、むしろ増加することがわかります。ただ、固定費の増加を工夫して緩やかにすることは可能です。自動車を購入せず借りること、つまりカーシェアなどの利用で削減は可能ですし、保険は終身にせず定期保険を活用する、もしくは子どもの教育費のために、祖父母の援助が期待できないか、相談してみるのはいかがでしょう。例えば、習い事の費用なら出せる、もしくは受験時の塾代なら出せるなど、この機会にそれぞれの祖父母に交渉してみるのはいかがでしょう。
ライフプランを立ててみよう
相談者32歳、配偶者が30歳ということで、今後は年齢とともに妊娠がしづらく、時には1人目ができたのに2人目ができにくいなど、不妊治療が必要なケースもあるかもしれません。ただ、今の貯蓄では、不妊治療助成や出産育児一時金、児童手当などのさまざまな助成があるとはいえ、2人の子どもの費用は家計的にはなかなか難しい状況と言わざるを得ません。
そこで、一度、子どもを2人とした場合のライフプランを立ててみてください。いつ、どれくらいの費用がかかるかを視覚化することで、より実現へのルートが見えてきます。教育費は一番削りにくいお金です。【図表】「教育費負担の実態調査」を見てみてください。教育費のねん出のために、外食やレジャーなど、ほかの費用項目を削っていることがわかります。本当に2人目が欲しいということでしたら、費用の準備を計画的にしないと、家計は火の車になる可能性もあります。
受験のタイミングをずらすことで負担を分散させられる
きょうだいがいる場合の教育費についてポイントがあります。確かに子どもの費用はプラスでかかりますが、単純に年間の費用が二倍になるわけではありません。例えば3歳違いであれば、同時期に受験があることで、塾の費用や受験料、入学費用などが同時期にかかります。2歳違いなど、時期をずらすことができれば、少し家計は運営しやすくなるでしょう。子ども一人ひとりに対して教育費が多くかかる時期は決まっています。自動車や家と違って、「今、まさに必要なお金で、ずらすことができない費用」です。生まれる時期がずれていれば、当然かかってくる費用をずらすことが可能です。
さらに、先ほどの調査結果からは、少し教育費の負担が減っていることがわかります。教育費を親が負担することが難しくなっているからこそ、高校生の就学援助や高等教育の給付型奨学金、学校ごとの成績優秀者の学費減免など、学生に学業を継続させるための制度は探せばあります。負担を減らすための制度を普段からリサーチしてみてください。奨学金にも色々な種類がありますが、時期によって、予算や申請時期も異なりますので、申請を逃さないように情報を集めておくべきでしょう。
「お金がないから、子どもをもう一人あきらめる」のではなく、子どもを含めたライフプランを考えてみて、いつ、家計にどんなお金が必要かを想定しながら、家計を計画的にコントロールできるようになっていただきたいものです。