はじめに

目的額に達したら保守的な運用を心がける

次に、「ずっと株式100%で良いのか」というご質問について。残り15年間は積み立て運用が出来ることを考慮すると、このまま全世界株式のインデックスファンドと同じ比率で運用していくのもありです。なぜならば、全世界で見た場合に、紆余曲折はありながらも今後継続して成長していく可能性は高いためです。

この場合には、15年という運用期間の中で、いつ売却していくかを検討する必要があります。もっとも望ましいのは、目標金額に到達したらそれ以降は保守的な運用を心がけることかと思います。15年間あれば良いときもあれば悪いときもあることでしょう。目標金額を決め、そこに到達したら無理なく売却もしくは積み立てをストップすることも視野に入れるべきです。運用金額に対して目標金額を決め、目標金額達成後に株式の比率を下げていくことを検討する。場合によってはすべて売却し、投資のタイミングを見計らっていく。これが一つ目の対策方法です。

少しずつ債券型の割合を増やしていく方法も

もう一つは、相談者がおっしゃるように、債券などを混ぜてリスクヘッジを図っていく方法が考えられます。年率何%を目標にするかで配分は異なってきます。早期リタイア時にどれぐらいの資金を必要とお考えでしょうか? その資金額によって対応はわかれます。

仮に現在のように年間500万円の貯蓄ができるのであれば、15年間で預金であっても7,500万円の資金が捻出できます。さすがに全部株式型のインデックスファンドではリスクは高いとお感じになると思います。

株式インデックスファンドの売却益に対する課税を極力回避したいのであれば、今後積立てていく中で、債券型6:株式型4や7:3といった配分にし、少しずつ債券型の比率を高めていくことがよいのではないでしょうか。この場合には、いますぐ売却し債券の比率を一気に高めるといったことにはならないものの、税金面ではご希望通りに沿えると思います。

投資は非課税の恩恵を受けつつコツコツと、が王道

ここまでは相談者の質問に沿って回答いたしました。株式型で早めの目標到達をはかるか、債券も含めてコツコツ投資により最終的にリスクヘッジ対応型にしていくか。どちらをとるかは相談者のリスク許容度により異なります。また、その時々の世界情勢により変わります。

個人的には、そろそろ債券や金などのコモディティによるリスクヘッジも検討していくべきだと思います。ただし、インフレヘッジという視点からは株式は有効といえ、すぐに経済状況が悪化するといった状況でもないでしょうから、いますぐ債券型などを一気に増やさなくてもよいと考えます。徐々に債券型の比率を高めていく戦略がよいと考えます。

なお、確定拠出年金やNISAについては株式型主軸に、特定口座では株式型、債券型にわけて運用を行いましょう。結局の所、非課税の恩恵を受けつつ、コツコツ投資。これが王道であり、目標達成への近道となることでしょう。そして、55歳以降はさらにリスクを減らすような運用スタイルへと変更し、年4%ルールを守れるよう着実に実行していきましょう。

場合によっては住宅ローン一括返済の検討も

最後に、現状では住宅ローンの一括返済は検討しなくても良いと思いますが、10年の住宅ローン控除期間が終了する際や、目標額に到達し余裕がでた場合には一括返済も検討されても良いと思います。今後仮に世界的なインフレが生じた場合には金利も上昇する可能性があります。その際には一括返済は有効な手段となり得ますので、いくつかのパターンを想定しながら資金管理をしていきましょう。

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