はじめに

非財務情報の開示と株価の関係

次に開示スコアの内容を少し詳しくみてみます。下表は開示スコアのある全上場企業について、業種別と時価総額別で分類したグループの平均開示スコアを比較したものです。

全企業の開示スコアは2015年から2020年にかけて17%上昇しています。2020年の開示スコアをみると、非製造業よりも製造業が、時価総額の小さい企業よりも大きい企業が高い傾向にあります。

ただし、2015年から2020年までの開示スコアの上昇率をみると、時価総額が小さい企業のほうが高くなっており、時価総額の小さな中小型株企業では非財務情報の開示が進んでいることがうかがえます。

次に開示スコアが上昇している企業の株価についてみてみます。下の図は(A)いちよし経済研究所のユニバース銘柄(500社強、平均時価総額は約900億円)、(B)ユニバース銘柄のうち開示スコアが上昇した銘柄(130社)、(C)TOPIXについてそれぞれ2015年1月末を100とした株価指数の動きを比較したものです。なお、開示スコアが改善した企業は過去5年で開示スコアが5ポイント以上改善したものとしました。

株価指数の動きをみると、開示スコアが5ポイント以上上昇した企業の株価指数はTOPIX及びユニバース銘柄の株価指数をいずれも上回っており、非財務情報の開示が進んだことが、株価に対してプラスの影響を与えたとみることもできそうです。今後は企業のディスクロージャー姿勢の変化についても注意深くみる必要があるでしょう。

<文:リサーチサポート室 久保毅>

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