はじめに

仮想通貨を売却して利益を得たら夫の扶養からはずれてしまう?

Aさんが前述の通りビットコインを売却した場合、扶養については2つの影響があります。

1つ目はAさんの夫が現在受けている配偶者特別控除がなくなってしまうことです。配偶者特別控除には所得制限があるのですが、Aさんの夫は条件を満たしているため毎年38万円の控除があり、7万6,000円(所得税率20%として計算)の税金が軽減されています。この控除がなくなってしまうということは、夫の手取り収入が少なくなってしまうということです。

2つ目はAさん自身が社会保険の扶養から外れてしまう可能性があることです。具体的にはAさんの年収が130万円を超えると、国民年金と国民健康保険料を自分で納める必要が出てくるかもしれません。可能性としてお伝えしたのには理由があります。扶養されるべき人であるかどうかの収入基準は継続的・恒常的な収入に基づいて判断されます。つまりビットコインの売却益はいわば突発的な収入ですから、判定の対象外である可能性もあるのです。ただし、この判断については夫の加入する健康保険のルールによって異なります。Aさんには、夫の健康保険に確認する必要があるでしょう。

また、夫の勤務先からは家族手当が支給されているそうです。こうした会社独自の手当には対象となる妻の年収に制限がある場合もあるので、その点も注意が必要です。

以上をまとめると、Aさんがビットコインを売却する場合、夫にも影響が出てくることがわかりました。社会保険の扶養内に収まるように、ビットコインをこまめに売却する方法もありますが、すでにAさんの年収は120万円なので10万円以内の利益確定を1年ごとに行っていくことになります。しかし、ビットコインの今後の値動きはわかりませんから、今年に限り扶養を外れて、来年以降は元に戻るのもありかもしれません。

Aさんとしては、とにかく今どうしたらいいのか不安な状況から、夫に正直に話すことで収拾がつきそうだとわかり、安堵された様子でした。今回の事例は利益が出ていたからよかったですが、自分がきちんと理解していない投資には手を出さないほうが良いでしょう。

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