はじめに

「場づくり」のルールに切り替えよう

以上のような労働環境に関する意識の変化を踏まえると、就業規則の価値や、その考え方も必然的に変わってきます。

今までは、企業側の都合や視点でつくる企業が多かったと思います。今後は、企業視点の一方的なルールから、大人の関係が構築・維持される「場づくり」のルールへと移行させていく必要があるのです。

その意図は、優秀な従業員との良好なパートナー関係を図ることにあります。彼ら彼女らにとって心理的に安心・安全な職場をつくるためのルールを作成していきましょう。

そうした場は、企業がトップダウンでつくるのではなく、労使間で、フラットに、能動的につくり上げていくのがベストな形です。

なお、組織風土は、当然ながら就業規則だけで醸成されるものではありません。しかし、就業規則がその一部を担い、日々のミーティングや会議、朝礼、社内報、社内イベントなどと織りを成してつくり上げられていくのです。

つまり、就業規則に対する基本的スタンスを、命令や強制力の根拠となるルールから、良い企業風土を意図的に構築するための対話のツールに変えていくのです。

著者プロフィール
下田直人(しもだ なおと)
株式会社エスパシオ代表取締役。ドリームサポート社会保険労務士法人役員。特定社会保険労務士。経営コンサルタント。ビジネスコーチ。1974年生まれ。2002年社会保険労務士として開業。 2005年『なぜ、就業規則を変えると会社は儲かるのか?』を出版し、就業規則に対する中小企業、社会保険労務士の概念を変える。 以来、「就業規則の神様」と呼ばれ、全国にクライアントを持つとともに、「社労士に頼られる社労士」として専門家への指導も行う。

新標準の就業規則 下田直人 著

新標準の就業規則
戦略的な就業規則により1,000社超の経営問題を解決してきた「就業規則の神さま」として知られる社労士が、昨今の労働環境や多様な働き方を踏まえたうえで、自社の理念を落とし込んだ「新標準の社内ルール」のつくり方を解説する、就業規則本の決定版。

(この記事は日本実業出版社からの転載です)

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