はじめに

なぜ日本代表の活躍が株価に影響するのか

さて、金メダル数と株価の関係に話を戻しましょう。続いては、金メダル数が10個以上だった過去6回の大会と9個以下だった大会、それぞれ五輪期間の日経平均株価を平均してみました。

平均騰落率は2.03%と9個までだった残りの10回を平均した0.79%を上回っています。先ほど紹介した勝率(上昇した割合)も金メダル数が9個までだと5割を下回っており、日本代表の金メダルが少ないと相場は下がる時が多かった傾向が分かります。

なぜ“日本代表が活躍すると相場が上がり、活躍できないと相場が下がる傾向“があるのでしょうか。これには“行動経済学”の理論が理由にあると考えられます。行動経済学を平たく言うと、人間の行動はその時の気分に左右されるため、株式を買ったりする投資も気分の影響を受けてしまうということです。

以前、この連載で「ワールドカップと株価の“ベタな関係”は実在するのか」を取り上げました。詳しくはその記事を読んでもらいたいのですが、「サッカーのワールドカップで日本代表が勝利すると日本株が上がる」ということを紹介しています。

実は、サッカーに限らず大きな国際試合で勝利した国の株価は高いという関係が見られるという研究があります。これは行動経済学という学問が裏づけています。日本代表が活躍すると投資家の気分も明るくなりやすく、株式市場で悲観的な見方が後退するため株高につながりやすいのです。

実は、金メダルに限らず銀、銅も含めた獲得メダル総数でも同じように分析してみました。その結果、メダル総数が30個以上の過去の五輪となった4回(1984年ロサンゼルス大会、2004年アテネ大会、2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会)のいずれも五輪期間で日経平均株価は上昇しました。金メダルに限らず、日本代表の活躍と株高が関係していることが分かります。

今回の東京五輪での代表の活躍と株式市場の行方は期待されます。

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