はじめに

アクティブファンドの運用者に求められるもの

このように文章だけでパッシブ運用とアクティブ運用を比較すると、何となくアクティブ運用の方が高いリターンを期待できるのではないかと思ってしまいがちです。確かに、「パッシブ運用が連動目標としているベンチマークを上回るリターンを目指す」のがアクティブ運用ですから、定義上はそう思うのも無理はないでしょう。

でも、運用の世界における常識は、「アクティブ運用はパッシブ運用に勝てない」というものです。

アクティブ運用の要諦は、銘柄選別にあります。市場平均に対する超過リターンのことを「アルファ(α)」と言い、これが得られる銘柄を探すのが、アクティブ運用を行う運用者の仕事です。

より多くのアルファを得るためには、他の運用者がまだ気づいていない有益な投資価値にいち早く気付いて投資する必要があります。そして、パフォーマンス競争をしている他の運用者に勝つため、アクティブファンドの運用者は日々、さまざまな情報に目を通し、有益な投資価値を探しています。

しかし、この20年で運用者を取り巻く環境は大きく変わりました。インターネットの発展によって、誰もがさまざまな投資情報を素早く、簡単に入手できるようになりました。

これによって、パブリックでありながら入手するのにちょっとしたコツがいるような情報の壁が無くなり、少なくとも公開情報に関しては、誰もが同じ条件で入手できるようになったといっても良いでしょう。つまり情報入手のスピードは、運用成績の優劣の決定要因たりえなくなったのです。

そうなると、アクティブファンドの運用者のパフォーマンスに差をつける要因は、「イマジネーション」の有無になります。たとえば同じ決算情報を見て、それをどう解釈するかの違いです。その他大勢の運用者とは異なる、ユニークな観点から情報を見ることのできる能力を持った人でなければ、一流のアクティブファンドの運用者になれません。

そして現状、そのような能力を持った運用者はそう大勢はいないでしょう。大半のアクティブファンドは、凡庸な能力しか持たない運用者によって運用されており、この手のファンドは運用にかけるコストが割高である分だけ、市場平均に負ける形になります。結果、平均値で比較した時、「アクティブ運用はパッシブ運用に勝てない」という現実に直面すると考えられます。

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