はじめに
個人は優れた運用者を選べるか問題
では、「アクティブ運用はパッシブ運用に勝てない」のは万国共通の真理なのでしょうか。
これについては、案外そうでもないのではないかと考えています。
恐らく、マーケットが長年にわたって上昇し続けている株式市場であれば、アクティブ運用よりも、市場平均に連動するパッシブ運用の方が平均値で勝てる可能性が高いと思います。
アクティブ運用の場合、良い運用者とダメな運用者が混在していて、個人に優秀な運用者を選ぶ能力がない以上、当たり外れは半々です。その前提のもと、マーケットが長期にわたって右肩上がりなのだとしたら、下手なアクティブ運用のファンドを選ぶくらいなら、当たり外れとはほぼ無縁なパッシブ運用のファンドを選んだ方が、幾分かマシなリターンを得られる確率が高まります。
でも、それが通用しないマーケットもあります。たとえば日本などは、その典型例ではないでしょうか。
日本は今、人口減少社会の入り口に立っています。近い将来、人口が1億人を切るのも確実視されています。このまま人口が減少し続ければ、よほど抜本的な構造改革をしない限り、経済は縮小傾向をたどっていきます。
このような国の株式市場は、これから先、ニューヨーク・ダウなどのように力強く最高値を更新し続けるような状況にはならないでしょう。
もちろん、日本企業のなかにはグローバルを舞台にして、日本経済が縮小しようと、どうなろうと関係なく成長しているところもあり、この手の企業の株価は長期的に上昇する可能性はあります。
ただ、この手の企業が複数社あったとしても、株式市場全体から見ればごく小さな動きに過ぎません。一部に個別で株価が値上がりする反面、全体の株価動向を示す株価インデックスは横ばいで推移するという状況が、これからも続くと考えられます。
株価インデックスが長期的に横ばいで推移するとしたら、パッシブ運用は明らかに不利です。日本株を対象に運用するならば、運用者の銘柄選別能力を活かせるアクティブ運用が適しています。ただ、ここで個人が、本当に優秀な銘柄選別能力を持つ運用者を選べるのかという、別の問題が立ちはだかります。
それが出来るなら何も問題はないのですが、それが難しい、あるいは自信がないのであれば、次善の策として、これからも経済成長が期待できる国・地域の市場平均への連動を目指すパッシブ運用ファンドが良い、という判断が成り立つのです。