はじめに
マイナンバーによって薄れた年金手帳の必要性
2015年10月以降、住民票を持つ方全員に対して1人にひとつ、12桁のマイナンバーが通知されています。マイナンバー制度は、社会保障・税・災害対策の分野で効率よく情報を管理することで、国民の利便性アップや行政の効率化などを行うために導入されたものです。近年では、コロナ禍によって実施された「特別定額給付金」の給付や、キャッシュレス決済とマイナンバーカードを紐づけるとポイントがもらえる「マイナポイント」などでも活用されました。マイナンバーを各種手続きに活用できる場面は、少しずつ増えています。
年金の手続きも、例外ではありません。
これまで、年金に関するさまざまな手続きをするには、基礎年金番号が必要でした。しかし、日本年金機構では、2017年1月からマイナンバーによる年金相談や照会の受付をスタート。さらに2018年3月5日からは、基礎年金番号で行っていた届出・申請もマイナンバーでできるようになったのです。そのうえ、マイナンバーと紐づいた「マイナポータル」からは年金加入記録の照会などもできるようになっています。
年金に関する情報は、すでにマイナンバーで管理されているのです。
また、基礎年金番号が必要だという場合も、行政手続を簡単・便利にするために、年金手帳の提出が求められない場面が増えています。つまり、年金手帳そのものの必要性が薄れてきてしまったのです。
そんななか、2020年6月5日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されました。このなかに、2022年4月から年金手帳が廃止されることが盛り込まれた、というわけです。