はじめに

大前提として、「なぜモチベーション管理が重要なのか」を理解できているでしょうか。モチベーションが低下すると、仕事をしていても上手く成果を出せませんし、やりがいも感じられなくなってしまいます。

そんな従業員が一人と言わず、社内の多くのを占めるようになってしまったら、生産性は下がり、人材不足に拍車がかかります。従業員が今、どんな状況にいるのかを会社としてしっかり把握する必要があります。そこで、近年ではモチベーション管理が重視されつつあるのです。

ただ単に、人事担当者が管理職に「従業員一人ひとりのモチベーションにもっと向き合ってください」と呼びかけるだけでは、何も変わりません。ならば、人事担当者が従業員にアンケート用紙を配布し、「最近のモチベーションについて答えてください」と呼びかけ、その結果をエクセルで分析すれば良いのでしょうか。それだけでも大変な労力を要してしまいます。

注目されているのが、モチベーション管理システムです。これは、社員の仕事に対するモチベーションをデータとして可視化し、それぞれが抱える問題点をいち早く発見するとともに、必要な対策を実施しながら、生産性の向上や離職防止につなげていくシステムです。

モチベーション管理システムとは

では、モチベーション管理システムを導入すると、どのようなメリットがもたらされるのか、またデメリットはないのかについて解説していきます。まずは、メリットをリストアップし、導入企業の声を拾ってみました。

生産性が向上する

「コミュニケーションの壁が低くなった」(情報通信機器販売会社)
「中途社員がスムーズに職場に馴染めるようになった」(人材系アウトソーシングサービス企業)

まさに、これはモチベーション管理システムを導入する最大のメリットと言えます。従業員一人ひとりのモチベーションを的確に把握・管理し、モチベーションに関わる何か問題があるようであれば迅速にフォローし、解決していくことで、仕事に対して高い意識を持てるようになります。自ずと、業務の効率化や業務改善が行われやすくなり、結果として生産性を向上させることができます。

離職を防止する

「離職率が1/8に下がった」(人材サービス会社)
「モチベーションが下がっている人に声掛けができる」(ベンチャー系エネルギー企業)

離職しそうな従業員を早期に見つけ出し、何らかのサポートを行うことができると離職を回避できる確率が高まります。でも、実際にはその兆候を把握することが難しく、ある日突然離職を申し出されてしまうのが実態です。その点、モチベーション管理システムを導入すると、従業員から送られてくるアンケートへの回答結果から、心境の変化や不満を読み解きやすくなり、逸早くフォローアップできます。

人材を適材適所に配置できる

「従業員がどこに不満や不安を抱いているのかを見える化できる」(士業事務所)

さまざまなデータが人事部に蓄積されるので、感覚でしか捉えていなかった従来とは違い、従業員の特性や業務内容に対するモチベーションの変化などを明確に把握することができます。それらを踏まえて、誰をどの部署に配置するか、誰と誰がメンバーとして組んだらチームが上手く機能するかも考えやすくなってきます。

デメリットは?

もちろん、デメリットもないわけではありません。2点ほど挙げておきます。

効果がすぐには出ない

従業員のデータを十分に収集しない限り、分析することも有効な施策を行うこともできません。実際、アンケートをしばらくの期間、定期的に実施しなければ、モチベーションの変化は見えてこないと言ってよいでしょう。

コストがかかる

モチベーション管理システムには、トライアル期間中やユーザー数が少ない場合に無料で利用できるもののありますが、多くは初期費用や月々のランニングコストなどがかかります。総コストを試算した上で判断する必要があります。

サイクルを繰り返し、より良い職場に

このデメリットは、従業員のモチベーション管理に中長期的な姿勢で取り組んでいくと決めた企業にとっては、あまり意識しなくてよいでしょう。それ以上に、生産性の向上、離職の防止、適材適所というメリットは大きなものです。HRテックを取り入れるのも一つの手として考えてみるのもいいかもしれません。

(この記事はボクシルマガジンからの転載です)

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