はじめに

年金受給額200万円を308万円に増額するには?

ちょっと説明だけでは、わかりにくいので具体的な例をあげながら、説明をしていきましょう。

60歳で貯蓄ゼロになったAさん。Aさんは、退職金があったのですが、住宅ローンを完済して、貯蓄もスッカラカンになりました。

Aさんの65歳時の年金受給額は200万円。Aさんの妻の65歳時の年金受給額は100万円。老後生活の支出は、月額30万円(年額360万円)とします。

このままでは、年間60万円ずつ赤字になります。老後資金がないので、取り崩すこともできません。そのためAさんは、月給30万円で70歳まで働いて、その間は年金を繰下げ受給したとします。

さて、どうなるでしょうか?

・65歳まで働くので、65歳のときには年金受取額は約210万円に増額
 30万円×(5.481/1,000)×60ヵ月=9万8,658円
 200万円+9万8,658円=約210万円

・70歳まで繰り下げるので42%の増額
 約210万円×142%=約298万円

・65歳から70歳まで働くので、さらに約10万円の増額
 30万円×(5.481/1,000)×60ヵ月=9万8,658円

70歳からの年金額は、約308万円になる

妻の年金額100万円をプラスさせると408万円に。

Aさん夫婦の年金は408万円になり、年間の支出が360万円なので、48万円の黒字になりました(月額4万円の黒字)。

70歳以降は毎月4万円の貯金ができることになります。80歳までには、うまくいくと480万円の貯蓄ができるのです。これならもし、介護のトラブルが合ったとしても、なんとか対処ができそうです。

とにかく、毎月赤字ではなくなりますし、年金は一生涯入ってきますので、お金の心配をしない暮らしができそうです。

60歳から70歳までは、綱渡りのような生活になりましたが、この間、Aの妻がパートの仕事などをすることで、家計に余裕が出ます。またはもう少しの節約で余裕が出てくると思います。

『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)長尾義弘 著

 60歳で貯蓄ゼロというのは珍しくないことですが、そこから豊かな老後に持って行くには、ちょっとした知識とテクニックが必要です。家庭状況や仕事により変わりますが、どんな方法で年金を増やすか、どんな節約が有効なのか60歳からのお金の作り方を紹介しています。

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