はじめに
DCの運用方法を再検討し、資産を増やせる可能性を広げる
まず、気になるのが老後資金の少なさです。その改善の意味でも、会社でしているDC(企業型確定拠出年金)は、定期預金ではなく、運用で少しでも増やすことを考えていきましょう。投資を始めるのは少し怖いと感じるかもしれませんが、S&P500のような指標に連動するように作られたインデックスファンドという投資信託を中心に長期的に運用していけば、大きく損失を出すという事態は避けられるでしょう。むしろ長期間継続できれば、資産を増やす可能性も大きくなります。
2022年5月から、厚生年金に加入できる働き方をしていれば、70歳までDCに加入することができるようになります。受け取り開始年齢は最大75歳まで延長できます。つまり、ご相談者も長期運用による恩恵を受けられる可能性があるのです。
もしマッチング拠出(会社が拠出する掛金に加え、加入者が掛金を上乗せして拠出すること)が可能であれば、家計の支出を絞って掛け金をねん出し、投資する金額を増やすこともよいでしょうし、もしなければ、可否は規約によりますが、65歳までiDeCoに拠出をすることも選べます。極端に欲張ることはできませんが、60歳を過ぎてからも働き続けることを計画できれば、DCのメリットを生かし、老後資金を増やせる可能性があるのです。
では、マッチング拠出またはiDeCoの掛け金をねん出するために、支出はどう見直すとよいでしょうか。
「その他」と「使途不明金」が支出見直しの鍵
現状は、役職定年で収入が減っても、月の収支は黒字。極端に悪くはないと思います。ですが、これから先、再雇用、年金生活と、生活の仕方が変化していくと、徐々に収入は減っていくと思われます。ですから、今のうちに支出をコントロールできるよう、見直しをしておきましょう。
住宅ローン、食費、水道光熱費など基本的な生活費は極端に多くはないと思うのですが、ゲーム課金、キャリア決済などを利用する通信費、タバコに使う嗜好品代、使途不明金を含むその他の支出が多めかと思います。
これらのうち、減らせる支出はないか、検討してみてください。例えば、ゲーム課金には上限を設ける、キャリア決済はどのようなものにお金を支払っているのか振り返るなどしてみると、支出にブレーキをかけられたり、ムダに気が付いたりし、支出削減につなげられることがよくあります。
また、少し面倒かもしれませんが、使途不明金をなくすということも、支出削減につながる可能性があります。自分は何にお金を使っているのかを知ることにより、その支出が必要なものであったかどうかを考えるきっかけとなりますし、考えられれば、支出にメリハリを付けていくこともできるようになります。これができれば、余剰金をいまより増やし、貯金を増やしていけることにもなるでしょう。